「宮城ヒーローサミット2013」参観記

平成二十五年十月五日(土)、六日(日)

 去年に引き続き今年も開催されるらしいと言う噂は耳にしていたがなかなか公式情報が入らず、公式ウェブが慌ただしく更新されたのは開催の半月程前。今回は仙台市中心部で二日間開催。今年は「国際」が外れる。
 五日の九時十八分水沢発に乗車、東北本線のみ利用で十一時二十四分仙台着。曇天。
 十分ほど歩いて会場の錦町公園に入る。近くはよく通っているがこの公園自体に用事があって入るのは初めてである。余談ながらこの公園の近くの勾当台公園は好角家の筆者にとっては聖地。崇敬してやまない江戸時代の横綱・谷風梶之助の銅像があり、今でも新横綱は昇進後最初の仙台巡業の折に谷風像の前で土俵入りをすると言う習わしがある。
 広場の周縁に舞台や多くの屋台が立ち並ぶ。多くの親子連れや、筆者の如きその筋の愛好家で賑わっている。また、多くの地方ヒーローが歩き回っている。すぐに石森両館の屋台を見付けて立ち寄る。一つのテントに

森萬画館
森章太郎ふるさと記念館

 と言う看板を掲げて同居しているが(机は別)、ふるさと記念館の方がいろいろな意味で格上なのにどうして看板は萬画館が上なのか。両館共、関連商品を販売している。ふるさと記念館は熊谷館長と菅原女史、萬画館は見知らぬ従業員二人。菅原女史から盛岡知人はと訊かれるが、今回は同行者無しの単独行動である。
 クリハライザーガンマを見掛けるのでテレビ岩手「鉄神ガンライザー」を見た事を話すと喜ばれる。岩手県が宮城県で迷惑かけて申し訳ない。
 十二時過ぎからヒーローアワード2013ヒーローアワー授賞式。「ボイスラッガー」音楽と共に舞台に現れるのは総合司会ショッカーO野。受賞者は藤岡弘、、佐々木剛、宮内洋、故・平山亨。1号から3号までの仮面ライダーと、プロデューサーである。一人ずつ登場し、トロフィーを受け取って挨拶をする。佐々木はこの時点で自主的に変身ポーズを披露。平山については、平山作品に数多く出演している金子吉延が代理受領、後で平山遺族に届けると言う。感極まって涙ぐむ金子。筆者は今まで1号2号のダブルライダー勢揃いは何度か見ているが、この三人ライダーを見るのは初めて。
 サミット関係者も登壇して記念撮影。その後、O野が受賞者から話を聞く。現況や今後の活動予定等。
 三人ライダーそれぞれの順に変身ポーズ。藤岡は「やるの?」「参ったな」と苦笑しつつ応じる。佐々木は「ショッカーの敵、人類の味方」と台詞入り。宮内洋は実演の前に、変身ポーズは横綱土俵入りだと説明する。変身ポーズ三連発の後、金子吉延は名台詞「ダイジョーブ」。
 受賞者のうち藤岡だけ壇上に残り、被災地支援の寄付の発表。式典終わり。
 立ち並ぶ屋台は各地方ヒーローのみならず、官庁、企業、民間団体等。警察の前には現役のCB1300が置かれていて、希望者は跨れるようになっている。東映は翌日からの新番組「仮面ライダー鎧武」やプリキュア映画の予告を上映し、チラシを配っている。隣の宣弘社は「月光仮面」「シルバー仮面」「レッドバロン」等、自社作品のDVDの販売。各地方ヒーローもCDや小物を販売しているところもある。食品の屋台も多く出ている。
 常時、ヒーローや悪者が広場を歩き回って来場者と交流している。筆者も積極的に写真を撮る、特に悪者。
 十三時半から引き続き「ショッカーО野のヒーロー大集合!」当日来場の地方ヒーローの紹介。助手は田名部生来。登場ヒーロー等はつぎのとおり。

 O野は各ヒーローの突拍子も無い、笑える設定を読みながら「だって書いてあるんだから」を連発。今回の出演者の中には東映作品の出演者もいるらしい。十四時過ぎに終了。
 また暫く公園内を歩き、屋台の食品を喰い、主に悪者と交流する。CD先行販売に注力しているダッチャー。その悪者・イタチ政宗が実に格好いい。これもダッチャーの悪者・国分蝶子が幼い男児に接触しているのは教育上非常によくない。またも余談ながら、たまに筆者が仕事の出張で仙台市に泊まると、下戸の筆者以外の連中は昼間から「夜の国分町での飲酒」しか頭に無いのが実に嫌だ。全東北の酒飲みの憧れか、国分町。
 十四時十五分から全国ヒーローショー。

 それぞれ趣向を凝らしたショーである。タガレンジャーの多賀城あやめが筆者のすぐ前の客席に着いて鑑賞している。ダッチャーは歌謡ショー付き。悪者のDr.ガオールが実に昔ながらの「悪の科学者」。ミヤマ☆仮面とクワガタ忍者は悪者との対決ではなく、主に観客と共に体操と、本物のクワガタムシの相撲の実演。デブーマスクは「本人はヒーローのつもりだが力不足で足手まとい」と言う点では、「鉄神ガンライザー」のオオガMAXに通ずるものがある。サイセイバーの途中で音声不具合発生、昔の傷付いたレコードのような無限ループ。今でもこんなことが起きるのか。場内は気まずさと失笑。何とか回復する。双嵐龍はソーランレッド炎龍が斎太郎節で演舞。元宮城県民の筆者も共に歌う。悪者が客席の方にやって来れば筆者は激励。
 ショーは十六時十五分終了の予定が実際は十七半頃。日没後ですっかり暗くなっている。会場をあとにして仙台駅に走り、粟野蒲鉾店で揚げ物を買ってから十八時二分の下りに乗るが、実際は同五十七分に乗っても水沢着は二十一時七分で同じ。途中の小牛田駅の売店に早速鎧武の菓子が置いてある。

 翌六日は午前中に盛岡市で用事があり、十三時十分の新幹線で十四時十九分に仙台着。時刻表をめくって帰途の電車を確認し、予め切符を買っておく。霧雨の仙台市、コンビニで傘を買う。
 再び錦町公園。石森両館の屋台の前に海斗の乗り物・イスラスタが展示されていて、やはり跨れる。イスラスタが広瀬川を遡って来たのではない。木村部長がいる。
 十五時からの仮面ライダーウィザード&フォーゼキャラクターショー。事前に全く注目しておらず、たまたま早く着いた為に見ておこうと言う程度だったがこれが掘り出し物。司会のお姉さんは劇場版の仮面ライダー部の衣装で登場して、観客も皆部員と言う設定。登場ライダーは題名の二人と1号、これは事前にウェブで発表済みだが、まず登場するのは何とシャドームーン! 予想外の大物登場に筆者大喜び。シャドームーンはフォーゼとの一騎打ちでこれを圧倒し、「仰向けに倒れたフォーゼの腹にサタンサーベルを突き立てる」と言う、実に笑撃的な演出。音楽も「BLACK」「ZO」使用で、О野は絶対その筋のウケを狙ったな。再び創世王を目指すと言うシャドームーンだが別にフォーゼがキングストーンを持っていたわけではない。悪者達が立ち去り、舞台に打ち捨てられたフォーゼにウィザードが力を与えて助ける。やがて1号登場、シャドームーンとウィザードの剣戟対決等、実に見所満載。
 戦いの後に例によって司会のお姉さんが「フォーゼのお歌を歌いましょう」と言っても誰も歌えない。しかも会場に流れたのはテレビサイズではなくフルサイズ。「クウガ」以降、テレ朝ライダーのショーをちょくちょく見ているが、主題歌を歌える観客はまずいない。一方、石森両館でのライブで、宮内タカユキの名曲は二十年以上経過した今も観客皆が声を合わせて歌っている。後世に残る名曲と言う点では、現時点でもテレ朝ライダーは平山、吉川ライダーにかなわない。
 キカイダーのジローの格好をした人がいるので正面と背面を撮影させてもらう。筆者は「光明寺博士はどこか、幸せを掴むのはいつの日か。ジローは行く、果てしない戦いの道を」を朗々と暗唱する。
 石森両館の関係者に別れを告げてから十六時までに公園向かいの専門学校・デジタルアーツ仙台の講堂に入る。特に紹介はされないが金子も来場している。最後の催し物、ヒーローアワード2013マスターアワード 月光仮面/宣弘社 授賞式・受賞記念イベント。司会はО野と田名部。まず「月光仮面」を見た事が無い人もいるだろうと言う事で(専門学校生が挙手)、数分が上映される。
 日本の国産テレビ映画第一号にして元祖テレビヒーローでもある「月光仮面」、それを生み出した宣弘社。今回は原作者・川内康範と当時の宣弘社社長・小林利雄に代わり、川内の子息・飯沼春樹と、利雄の子息で現社長の小林隆吉が受賞する。両者それぞれ挨拶、思い出を語る。
 サミット用に作られた、宣弘社作品紹介映像が上映される。数分ずつの名場面集。

 以前はCSのキッズステーションが昔の特撮作品をよく放送していて、筆者は「月光仮面」のどくろ仮面篇、「遊星王子」の最後の方、「ハリマオ」と「エスパー」の全部を見た。上映中にО野が田名部相手に解説を入れる。作品のいくつかでは場内から拍手が起きる。「月光仮面」が低予算で小林社長宅で撮影したと言う逸話があるが、現社長によると、「光速エスパー」も少年時代の彼の部屋が使われたと言う。О野は、「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の広告代理店が宣弘社だった事、仮面ライダーシリーズ脚本家・伊上勝が嘗て宣弘社の従業員だった事を挙げて、日本の主要テレビヒーローが宣弘社に行きつく事を指摘する。
 十七時頃、今年の一切の予定を終了。十七時四分の新幹線に乗り、一ノ関で乗り換えて十八時五十五分水沢着。

 去年は建物の中での式典等で多少堅苦しい部分もあったが、今年は開放的な公園で却って良かったと思う。また、ショーの音声不具合は別として、特に大失態も無かった。元祖テレビヒーローから最近のヒーローまで、実に歴史を感じさせる二日間であった。ただ、去年はウルトラ関係者の質疑応答があり、また降壇して退場する彼等と握手することができたが、今回は物理的な交流が全く不可能だったのが残念。
 故人も含めれば、表彰すべきヒーロー関係者はまだまだいる。
 藤岡弘、が言っているように、世界のあらゆる民族はそれぞれのヒーローを持っているだろう。日本もまた神話の時代から数多くのヒーローがいるが、このように映像や着ぐるみのヒーロー文化が高度に発達しているのは世界でも他に例が無いのではなかろうか。今後も世界に誇る日本のヒーロー文化を、筆者も一愛好家として後世に伝えていこう。我が「帝國」もまた、黒き英雄の伝説や各地方のヒーローの活動を伝える取り組みである。
 今後、ヒーローサミットの一企画としてヒロインサミットも開催して欲しい。ウルトラシリーズやスーパー戦隊の女性隊員、ライダーガールズ等々、ヒーロー作品を彩って来たヒロイン達。

一覧に戻る

目次に戻る