#4「悪魔の実験室」

昭和六十二年十月二十五日放送 脚本・上原正三 監督・北本弘
登場怪人・ノミ怪人二体、コウモリ怪人

粗筋

 大神官達は、光太郎の代わりに人間の若者を実験台としてその弱点を探る、という作戦を立案、ノミ怪人と黒松教授を登用。黒松はバイクレーサー・速水徹に着目、コーナリングでの恐怖感に悩む彼を勧誘。黒松を訪ねてきた速水にノミ怪人は「恐怖心を取り除く血液エキス」を投与、以後の速水は連戦連勝。その後、黒松は速水に恐怖心を植え付けるホルモンを投与、効果覿てき面。これを光太郎に対して使用する算段となる。
 夜。ホルモンの副作用で獣人となった速水、黒松研究室へ。黒松とノミ怪人、用済みの速水を始末しようとするも速水脱走。崖から飛び降りたところを光太郎が間一髪救出。
 ノミ怪人出現、光太郎にホルモンを注射するも効かず。光太郎は変身、ノミ怪人の動きと弱点をマルチアイで捕捉してこれを斃す。速水は元に戻る。
 レース場、そこには立ち直った速水の姿。彼に声援を送る光太郎と杏子。

暗黒大公曰く

 今回のコウモリ怪人は冒頭で光太郎を奇襲するもライダーチョップに撃退されて神殿でバラオムに叱られて下がる、それだけ。本筋には殆ど無関係。コウモリ怪人が下がった後、作戦会議、立案となる。
 神殿内での作戦立案の場面、ブラックサンの反撃に苛立つバラオム。ここでビシュム「巷では、仮面ライダーBLACKと呼んでいるそうな。」それを受けてバラオム「仮面ライダーBLACK…、仮面ライダーBLACKめ、このままではすまさん。」かなり立腹しているバラオムをダロムがなだめる。血気盛んな闘将バラオムと冷静な長老ダロムの対比が面白い。ゴルゴム側が世紀王ブラックサンを「仮面ライダーBLACK」と呼んだのはこの時が初めて。この時点でBLACKの捕獲を不可能と諦めているゴルゴムだが、実は後にBLACKはゴルゴムに捕まっている。両世紀王の改造手術を行ったのはダロムなのに、三神官達もBLACKの各種能力をよく解っていないのではないかと思われる様子が時々見られる。キングストーンは三神官達にとっても神秘の存在なのか。
 ノミ怪人、画面には二体登場しているのだが、実際に出陣したのは一体のみ。BLACKに対しては飛び回るばかりであまり格闘は無し。初めからホルモン注射が必殺技のつもりだったのだろう。
 一般怪人の多くは必ずしも打倒BLACKの為の刺客として出現するのではなく、人間相手の作戦を遂行している時にBLACKに察知されてこれと対戦する羽目になっている。BLACK打倒専任の一般怪人はノミ怪人が初めてだ、ノミ怪人は人間社会の混乱等を狙った作戦や、クモ怪人と秋月総一郎、ヒョウ怪人と月影ゆかりのような人間構成員暗殺には関わっていない。番組中しばしば出て来る「仮面ライダーに嗅ぎ付けられる」という台詞に示されるように、人間相手の作戦遂行中はBLACKに会わずに済めばそれに越したことは無いような感じも受ける。
 速水徹役は広瀬匠。東映特撮出演歴履歴はいろいろあるが、仮面ライダーシリーズでは後に「アギト」の最後の方で何だかよく解らぬ役で出演。この頃から渋い声だ。しかし彼が毛だらけとなって獣人と化す、その筋の女性ファンには衝撃的かも知れぬ。実は小学館「超全集」の「怪人図鑑」の中に、「獣人」という項目で他の怪人達と共に彼の写真が掲載されているのであった。
 黒松教授、ふてぶてしさ満点の悪役演技が嬉しい。名刺には「聖和大学医学部/学部長 黒松英(英)臣」。当時から全く同名の大学が兵庫県にあるし、原作者の出身地・宮城県には聖和短大がある。速水から「ノーベル賞候補の」と言われて「そうです」と本人が認めている。研究室内での様子は自らの右腕を交換したり、右目に機械をはめ込んだりして、かなり怪奇色が強調されている。そんな人類最高の頭脳を持つ悪の科学者が、ウォーと唸るが言葉は発せず、全く知性を感じさせない怪人に対して頭を下げて「ノミ怪人様」「お与え下さい」と敬語を使う様子に滑稽さがある。平山ライダーの怪人は普通に口をきき、普段の動作も普通の人間と同様の「動植物や機械の能力を身に付けた人間」だが、ゴルゴムの怪人は挙動からして人間離れして野性に戻った「二本足で歩く動植物」である。
 恐怖心を植え付けるホルモン、ダロム命名「臆病ホルモン」。そのまんまなところがよい。
 ラスト、帰途に就く光太郎と杏子の表情が妙に暗い。

クレジット

オープニング

仮面ライダーBLACK         吉川 進         堀 長文          (東映) プロデューサー         井口 亮         山田尚良         (毎日放送) 原作 石森章太郎    少年サンデー    てれびくん 連載 コロコロコミック    小学館学習雑誌    テレビランド 脚本 上原正三 音楽 川村栄二     主題歌 「仮面ライダー  「LONG LONG AGO, ・   BLACK」  20TH CENTURY」   作詩 阿木燿子   作曲 宇崎竜童   編曲 川村栄二   歌 倉田てつを 歌 坂井紀雄     (コロムビアレコードCK‐797) 南 光太郎 仮面ライダーBLACK  倉田てつを 秋月杏子  井上明美 紀田克美  田口あゆみ 速水 徹  広瀬 匠 速水恵子  曽根清美 藤井章人 川岸晋也 岡元次郎 釼持 誠 内田博之 蜂須賀祐一 渡辺 実 (ジャパン・アクション・クラブ) アクション監督  金田 治   (ジャパン・アクション・クラブ)
ナレーター 小林清志 ダロムの声 飯塚昭三 大神官ビシュム  好井ひとみ 大神官ダロム  庄司浩和 大神官バラオム  高橋利道 黒松教授  黒部 進 監督  北本 弘

エンディング

撮 影 松村文雄 照 明 中川勇雄 美 術 井上 明 イラスト 野口 竜 プロデューサー補 高寺成紀 録 音 太田克己 編 集 菅野順吉 選 曲 茶畑三男 効 果 大泉音映
製作担当 寺崎英世 進行主任 竹内洪太 助監督 吉野晴亮 計 測 岡部正治 記 録 栗原節子 製作デスク 岩永恭一郎 装 置 東映美術センター 操 演 国米修市 美 粧 サン・メイク 衣 裳 東京衣裳 装 飾 大晃商会
撮影協力 伊豆修善寺      サイクルスポーツセンター 資料担当 小佐野 聡      (石森プロ) キャラクター製作 レインボー造型企画             (前沢 範) 合 成 チャンネル16 現 像 東映化学 オートバイ協力   Sスズキ自動車
ビデオ合成 東通ECGシステム   峰沢和夫 近藤弘志   前岡良徹 鈴木康夫 (株)特撮研究所 操 演 鈴木 昶     尾上克郎 撮 影 高橋政千 照 明 加藤純弘 美 術 佛田 洋 特撮監督  矢島信男     △東映 製 作     毎日放送

使用音楽一覧
場面番号または歌曲名音楽メニュー
上空からの俯瞰M40
コウモリ怪人襲来M46急襲
変身、コウモリ怪人との戦闘M21バトルホッパー
副題M48b別サブタイトル
神殿にてM3張りつめる空気
ノミ怪人出陣V8絶体絶命!
陸上競技場M1
逃げる被験者M20世紀王脱走
ノミ怪人出現M15怪人出現
被験者の最期M34おぞましき姿
速水徹、被験者となるM1
黒松教授、実験を開始M24策謀
ノミ怪人出現、血液エキスを投与M7敵の気配
速水連戦連勝M11胸騒ぎ
光太郎の不安MC
光太郎、速水を追跡M11胸騒ぎ
走行中の速水に異常発生M15slow
恐怖を訴える速水、命名「臆病ホルモン」M3張りつめる空気
獣人速水M15slow
ノミ怪人登場、獣人速水走るM20世紀王脱走
ノミ怪人急襲M34おぞましき姿
総一郎の死の回想M9凱歌
変身V1変身!
名乗り「仮面ライダーBLACK」
インストゥルメンタル
名乗りM48c(コーダ部分のみ)危機脱出
戦闘V1変身!
マルチアイV0ヒーロー登場
勝利M9凱歌
速水復活MA


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