#38「謎!?EP党少年隊」

昭和六十三年七月三日放送 脚本・杉村升 監督・蓑輪雅夫
登場怪人・ネズミ怪人

粗筋

 坂田代議士のEP党、急速に勢力を拡大。党メディカルセンターの素粒子治療装置は難病治癒に威力を発揮。これ全てゴルゴムの後援、治療装置は病人を絶滅する為の機械だった。
 光太郎は反EP党組織の少年・ナオトに出会う。反EP党組織は治療器破壊を企てるも光太郎は彼等を制止し、自らに全てを一任させる。
 光太郎はメディカルセンターに潜入するも青少年部隊長に化けていたバラオムや配下の待ち伏せに遭う。隊長は患者達にBLACKの「犯行」を告げ、BLACKは退却。
 反EP党組織の指導者・岸本の正体はネズミ怪人。光太郎はゴルゴムにナオト達の出陣を通報する岸本を発見。光太郎、岸本共に変身して戦う。
 BLACKがネズミ怪人を斃すと、ナオト達と戦っていた青少年部員達は鼠になってしまう。やがてBLACKが駆けつけて加勢、その間にナオト達は治療装置を破壊。

暗黒大公曰く

 今回からオープニングに名前が登場する神田真理、坂田佳枝(JACではない)の二人が侍女怪人マーラ、カーラ役。ただ神殿の玉座の両脇に控えているだけで、普段は何をしているのかよくわからないこの二人。シャドームーンの掌中から出現したところを見ると改造人間ではないだろう。単なる世紀王に非ずして次期創世王たるシャドームーンだからこそ出せたものと見える。
 急速に支持を伸ばす「地球の平和を願う党」略してEP党。正式名称は長すぎるし、略称も安易だ。坂田の演説に旗を振ってやる気無さそうな声援を贈る聴衆が印象深い。演説する坂田の襷には「未を」と書いてある、多分「未来」の「来」の字の書き漏らし。その為か、襷の文字はあまり見えないように撮影されている。放送当時は所謂五十五年体制の末期だがまだ自民党が磐石の力を持っており、割って入る新勢力等は考えられなかった。合従連衡が繰り返される平成の政局、後ろで暗黒結社が糸を引いているのではないかと考えたくなる時もある。躍進するEP党の姿には小泉人気最高潮の頃が重なる、あの頃は小泉、田中に楯突く者は世間から叩きのめされた。
 EP党青少年部、元ネタはヒトラーユーゲントか紅衛兵か。慈善活動で支持を広げるも実はゴルゴムの手先、しかも正体はカラー鼠。きっとネズミ怪人の一族ならん。尚、カラー鼠に関して当時番組内で「小動物の健康に配慮しています」という断り書きは無かった。EP党の活動はの描写は専ら慈善活動で、本来の政治活動、例えば党の具体的な政策は判然としないし、党首坂田の国会活動の場面も一切無い。
 そのEP党の背後に信彦の姿を読み取る光太郎、例によって勘、推測だけで証拠は無い。「ゴルゴムの操り人形」シャドームーンではなく、信彦個人の主体性を主張している。
 「全国でここにしかない」素粒子治療装置で病人絶滅を図る、何とも気の長い噺。表向きの治療はEP党支持者拡大の意味もあるからあながち無意味でもあるまいが、後日、治療済の人達が次々に死んだりしたら疑われないか?
 正規の戦闘員は滅多に登場しないゴルゴムだが、今回の党員達のように「戦闘員的な」連中はしばしば登場する。これもいつかまとめてみるか。
 過去の活躍、そして恐らく決定的となったのは#36での市街戦だろう、既に世間に認められている「人類の味方」仮面ライダー。今回のBLACKの「犯行」を信じたくない民衆の言動に注目すべきである。やはり今まで信じてきたBLACKが我々の希望を打ち砕くとは思いたくないだろう。患者達は青少年部隊長のBLACK非難にすぐ乗せられてしまうのではなく、「嘘だと言ってくれ」と躊躇してからBLACK非難を始めるのがよい。そのニュースを見たキャピトラ組は世間の不明を嘆くが、往々にして真実を知る少数派は無力である。寧ろ何でもすぐゴルゴムを嗅ぎ付ける光太郎こそ世間から見ればどうかしているのだ。
 「BLACK ACTION」やっと初めて前半後半通しての使用。
 小学生を含む少年達が鉄パイプを持って病院を襲撃と言うのは理知的な方法とは思えない。最終的に治療装置破壊は達成できたがそれだけは不十分で、世間にEP党とゴルゴムの関係を認めさせなければならないがその辺りの後始末をナオト達はきちんとしたのだろうか。そうでないと、次回以降のBLACKは世間からゴルゴム同様「悪者」として忌み嫌われねばならぬ。果たしてナオト達が今回の件の一部始終を世間に訴えたところで相手にされるかどうか、甚だ疑問である。ラストのナレーションではEP党の再登場を窺わせていたが登場は今回のみで、土下座三人組の生き残り・坂田と大宮も今回が最後である。
 この週までプレゼント告知。

クレジット

オープニング

仮面ライダーBLACK         吉川 進         堀 長文          (東映) プロデューサー         井口 亮         山田尚良         (毎日放送) 原作 石森章太郎    少年サンデー    てれびくん 連載 コロコロコミック    小学館学習雑誌    テレビランド 脚本 杉村 升 音楽 川村栄二     主題歌 「仮面ライダー  「LONG LONG AGO, ・   BLACK」  20TH CENTURY」   作詩 阿木燿子   作曲 宇崎竜童   編曲 川村栄二   歌 倉田てつを 歌 坂井紀雄     (コロムビアレコードCK‐797) 南 光太郎 仮面ライダーBLACK  倉田てつを 秋月杏子  井上明美 紀田克美  田口あゆみ 林 健樹 石関賢太郎 岡田祐一 秋間 登 中村孝雄 姉崎公美 御友公喜 伊織秀祐 喜多芳章 三田恵子 甲立隆雄 村田泰則 芝崎丹行 神田真理 坂田佳枝 岡元次郎 北村隆幸 飯田規子 岩田時男 庄司浩和 (ジャパン・アクション・クラブ) アクション監督  金田 治  村上 潤   (ジャパン・アクション・クラブ)
ナレーター 小林清志 ダロムの声 飯塚昭三 大怪人ビシュム  好井ひとみ 大怪人ダロム  山本貴浩 大怪人バラオム  高橋利道 坂田龍三郎  久富惟晴 監督  蓑輪雅夫

エンディング

撮 影 工藤矩雄 照 明 仲澤廣幸 美 術 稲野 実 造 型 前澤 範 録 音 太田克己 編 集 菅野順吉 選 曲 茶畑三男 効 果 大泉音映
製作担当 寺崎英世 進行主任 梶川雅也 助監督 松本祐幸 計 測 西野高司 記 録 栗原節子 製作デスク 岩永恭一郎 装 置 東映美術センター 操 演 神尾悦郎 美 粧 サン・メイク 衣 裳 東京衣裳 装 飾 大晃商会 資料担当 小佐野 聡      (石森プロ) キャラクター製作 レインボー造型企画 イラスト 野口竜 プロデューサー補 高寺成紀 合 成 チャンネル16 現 像 東映化学 オートバイ協力   S SUZUKI
ビデオ合成 東通ECGシステム   峰沢和夫 近藤弘志   前岡良徹 鈴木康夫 (株)特撮研究所 操 演 鈴木 昶     尾上克郎 撮 影 高橋政千 照 明 加藤純弘 美 術 佛田 洋 特撮監督  矢島信男     △東映 製 作     毎日放送

使用音楽一覧
場面番号または歌曲名音楽メニュー
ニュースを見るキャピトラ組M48c
副題M48B別T2冒頭のみサブタイトル
侍女怪人登場MD
バラオム出撃指令V8絶体絶命!
EP党大躍進M2シティ・チェイス
反EP党組織M14行動開始
EP党の秘密V2勇者は行く
キシモト便所へM8闇の視線
Aパート終了M34コーダのみおぞましき姿
メディカルセンター潜入M25
党員との戦闘M23毒牙!
バラオム登場M34おぞましき姿
変身V0ヒーロー登場
悪者BLACK?M20世紀王脱走
光太郎の苦悩M3張りつめる空気
気が付く光太郎M40挑戦
ナオト達出陣M46急襲
スパイ行為露見M43
ネズミ怪人出現V8冒頭のみ絶体絶命!
光太郎対ネズミ怪人M34uptempo迫りくる怪人
変身V0ヒーロー登場
ナオト達潜入M2シティ・チェイス
党員迎撃M40挑戦
ナオト達、BLACKの戦い「BLACK ACTION」
カラー鼠M9凱歌
バラオムV8絶体絶命!
BLACK対バラオム「仮面ライダーBLACK」
陰謀阻止「ブラックホール・メッセージ」
冒頭とコーダ


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