#3「怪?怪・改造人間」

昭和六十二年十月十八日放送 脚本・上原正三 監督・辻理
主な登場怪人・クワゴ怪人、コウモリ怪人(他にオオワシ怪人、サイ怪人)

粗筋

 大井川鉄道のトンネル内で乗員乗客の失踪事件発生。光太郎は現場のトンネル内で、ただ一人難を逃れた乗客・陽一少年を発見する。そこにクワゴ怪人出現、陽一を連れ去ってしまうが光太郎は変身、陽一を奪還して退却。光太郎は陽一をキャピトラに預ける。
 その後、大宮会長や黒松教授の手引きにより、人工衛星やホテル最上階のレストランがコウモリ怪人、教授の病院の癌の治療機器がクワゴ怪人に奪われる。
 ゴルゴムの計略により、ビシュムのアトリエに進入する光太郎。そこには、強奪された物、誘拐された人間で作られた巨大オブジェ「人類の最期」があった。光太郎は変身、クワゴ怪人を斃し、捕らわれていた人々を解放。
 事件解決後、キャピトラに陽一とその母が挨拶に来る。陽一曰く、母は仮面ライダーBLACKに助けられたと。

暗黒大公曰く

 いくら考えても意味がよく解らぬ副題だ。ダロムは人類の文明文化の完全抹殺を宣言するが、今回のオブジェ製作自体はそれには程遠く、ビシュムの趣味の世界に堕している。そしてまたゴルゴムの行動全体が、怪人や人間メンバーまで動員しながら、単なる思い付き、行き当たりばったりで進行している。
 冒頭、ゴルゴム神殿の場面でV7aのフルサイズが流れる。「邪悪の神殿」、通称「ビルゲニアのテーマ」。V1aと並んで、筆者が「BLACK」の中で特に好きな音楽。今まで聴いた全特撮音楽の中でも上位に入る。創世王のお告げにより、この時点で次期創世王にはシャドームーンが指名されている。最早ブラックサンは打倒の対象であり、後継候補ではない。この後、三神官達もブラックサンを連れ戻そうとはしていない。
 ゴルゴム解説の場面で挿入される、二人の世紀王の戦いの映像。影なので細部が分からないが、どちらの世紀王にもシャドートリガーが無い。BLACKの着ぐるみ同士で戦ったのだろうか。この頃の筆者は、シャドームーンはブラックサンの単なる色違いだと予想していた。
 クワゴ怪人、これの姿は気持ち悪い。
 怪人達の出現場面の前に「我が愛しの怪人達よ」等と言っているダロム。彼自身の後での怪人軽視発言がゴルゴム滅亡の一因になろうとは思わなかった。
 大井川鐵道の車内、乗客が食べているのは明治のカール。異変発生、直ちにゴルゴム臭を嗅ぎつける光太郎。事件現場での、報道機関の取材に対する警察の応対が何とものんきで間抜けである。あのような警察だから、事件の当事者である陽一がトンネル内で泣いていたのも発見できず、更に光太郎に連れて行かれても気付かないのだろう。それで報道機関も「警察がそんな調子でいいのか」と鋭く斬り込みもしない。素人が警察に断りも無く現場に勝手に入り込んだり、当事者を独断で保護したりしていいのだろうか。
 陽一の父がいると言う遠い国・アラビア。サウジアラビア王国、アラブ首長国連邦、エジプト・アラブ共和国のように、国号にアラビア、アラブを含む国はいくつもあるが、単に「アラビア」と言う国は当時も今も無い。
 宇宙空間を飛んで人工衛星を、そしてホテル最上階を持って行ってしまうコウモリ怪人。大活躍。しかし人工衛星とはそんなに簡単に動かせるのだろうか。ホテルに至っては何十人ものお客がいて、ちょっとやそっとの重さではないだろうに。このホテル最上階強奪場面の大胆さは、当時の筆者の周囲でも評判になった。人工衛星のニュースの直前にキャピトラで掛かっていたアイドル歌謡の曲名を知らない。
 黒松教授の半変身。前回土下座して懇願していたくらいだからまだ怪人にはなっていないが、或る程度は自らに改造を施している。
 BLACKの着ぐるみ役者・岡元次郎が歩道橋からぶら下げられているところを倉田てつをに救助される。
 ビシュムのアトリエでの変身で大衆に正体を見られた可能性があるBLACK。変身後にいつもどおり名乗っただけで、後は名乗らずに去っている。それで陽一の母は「仮面ライダーBLACK」を知っていたとなると、変身を目撃していたとしか考えられない。尤も、捕らわれた繭の中や高く吊り上げられた檻の中からでは光太郎の姿はよく見えなくて、名乗り声しか判らなかったか。
 今回の騒動で死者や重傷者が出たようには見えないが、ゴルゴムの大規模、しかしいたずら程度の効果の企みに巻き込まれて、人々は実に不可解且つ迷惑ではあったろう。
 そう言えば、杏子と克美はBLACKの存在をいつ知ったのだろう。#1のラストの後、光太郎が事情を話して聞かせた、とも考えられるが、少なくとも#3の段階では、二人はまだBLACKの姿は見ていないはずだ。
 台詞で大井川鐵道を明言しているが、撮影協力にはクレジットされていない。

クレジット

オープニング

仮面ライダーBLACK         吉川 進         堀 長文          (東映) プロデューサー         井口 亮         山田尚良         (毎日放送) 原作 石森章太郎    少年サンデー    てれびくん 連載 コロコロコミック    小学館学習雑誌    テレビランド 脚本 上原正三 音楽 川村栄二     主題歌 「仮面ライダー  「LONG LONG AGO, ・   BLACK」  20TH CENTURY」   作詩 阿木燿子   作曲 宇崎竜童   編曲 川村栄二   歌 倉田てつを 歌 坂井紀雄     (コロムビアレコードCK‐797) 南 光太郎 仮面ライダーBLACK  倉田てつを 秋月 信彦  堀内孝人 秋月杏子  井上明美 紀田克美  田口あゆみ 陽一  直井健一郎 明子  寺内よりえ 永井政春 中山俊司 吉成幸一 小山晶幸 福岡康裕 佐々森勇二 内田修司 岡元次郎 出村達彦 北村隆幸 飯村いくみ 渡辺 実 (ジャパン・アクション・クラブ) アクション監督  金田 治   (ジャパン・アクション・クラブ)
ナレーター 小林清志 ダロムの声 飯塚昭三 大神官ビシュム  好井ひとみ 大神官ダロム  庄司浩和 大神官バラオム  高橋利道 大宮幸一  北見治一 黒松教授  黒部 進 監督  辻 理

エンディング

撮 影 松村文雄 照 明 中川勇雄 美 術 井上 明 イラスト 野口 竜 プロデューサー補 高寺成紀 録 音 太田克己 編 集 菅野順吉 選 曲 茶畑三男 効 果 大泉音映
製作担当 寺崎英世 進行主任 竹内洪太 助監督 吉野晴亮 計 測 岡部正治 記 録 内藤美子 製作デスク 岩永恭一郎 装 置 東映美術センター 操 演 国米修市 美 粧 サン・メイク 衣 裳 東京衣裳 装 飾 大晃商会 資料担当 小佐野 聡      (石森プロ) キャラクター製作 レインボー造型企画             (前沢 範) 合 成 チャンネル16 現 像 東映化学 オートバイ協力   Sスズキ自動車
ビデオ合成 東通ECGシステム   峰沢和夫 近藤弘志   前岡良徹 鈴木康夫 (株)特撮研究所 操 演 鈴木 昶     尾上克郎 撮 影 高橋政千 照 明 加藤純弘 美 術 佛田 洋 特撮監督  矢島信男     △東映 製 作     毎日放送

使用音楽一覧
場面番号または歌曲名音楽メニュー
副題M48b別サブタイトル
ゴルゴム神殿V7a邪悪の神殿
「人類の最期」M34おぞましき姿
怪人出現M46急襲
汽車襲撃さるV8絶体絶命!
車内を襲うクワゴ怪人M34おぞましき姿
光太郎と陽一を襲うクワゴ怪人M15怪人出現
変身、戦闘V0ヒーロー登場
人工衛星を運び去るコウモリ怪人M24策謀
ニュースに見入る光太郎と杏子V8絶体絶命!
Aパート終了ME1
黒松の変貌M25
クワゴ怪人、コウモリ怪人の暗躍V8絶体絶命!
ぶら下げられた人々M20世紀王脱走
ビシュムのアトリエに潜入M8闇の視線
巨大オブジェV7a邪悪の神殿
「人類の最期」M24策謀
生身で戦う光太郎V7忌まわしい記憶
変身V1変身!
変身完了V0ヒーロー登場
クワゴ怪人の逆襲M34おぞましき姿
BLACKの逆襲V1変身!
勝利、捕囚解放V9凱歌
キャピトラにてM30


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