#26「超能力少女を救え」

昭和六十三年四月三日放送 脚本・杉村升 監督・蔦林淳望
登場怪人・バッファロー怪人

粗筋

 少女・麻美は男子達に混ざって野球やサッカーに興ずるも力及ばず失敗ばかり、仲間外れにされてしまう。落胆する麻美の前に謎の男出現、その正体はバッファロー怪人。その後、麻美は突然優れた運動神経と怪力の持ち主となり、大活躍。
 怪力発揮を父にたしなめられた麻美、そこでバッファロー怪人の意識が前面に出て麻美は家を飛び出してしまう。麻美にはバッファロー怪人が取り憑いていた。
 周囲の少年達を従えた麻美、街で大暴れ。しかし少年達は麻美を恐れ、離れていく。怪力少女の出現による人間社会の価値観の崩壊、それが今回のゴルゴムの狙いであった。
 コンビナートを占拠した麻美。光太郎は変身せずに麻美からバッファロー怪人を追い出そうとするが麻美の怪力に苦戦、手も足も出せず。やがて麻美は体内からバッファロー怪人を追い出し、BLACKはこれを斃す。

暗黒大公曰く

 念力も使うから確かに「超能力少女」だが、筆者の印象は「怪力少女」だ。
 今回の主人公の名、小学館「超全集」では「麻美」、LDジャケットでは「マミ」。劇場版第一作に続いて湯原弘美二度目の出演。あの垂れ目が何とも魅力的な、筆者お気に入りの女優である。他の東映特撮や時代劇でもよく姿を見たが、筆者が最後に彼女を見たのは「オーレンジャー」のマルチーワ人間体、下品な真っ赤なボディコン姿で超力戦隊の男衆を骨抜きにしていた。それ以来テレビで彼女を見ていない。今回は怪人に取り憑かれた少女を熱演。
 バッファロー怪人と言っても今回から同形の巨大な弟ロボットが登場するわけではない。怪人自ら人間に化けてスカウト活動とは御苦労なことだ。今回の剣聖は「高見の見物」。神殿で大神官達にさんざん嫌みを言う場面、実に心地よい。「性懲りも無く」「また失敗して歯ぎしりするのが落ちでしょうけどね」
 冒頭で野球試合から追放されてうなだれる麻美に光太郎が激励のつもりで掛けた言葉「女の子なんだから」が麻美を傷つける。走り去る麻美を見ての光太郎のあの苦々しい表情は何を意味するのか。
 男子とばかり遊んでいる麻美、ひょっとしたら同性に嫌われるたちなのだろうか。特に男子に人気があるという様子でもないようだ、寧ろ野球やサッカーでは失敗ばかりで嫌われていた。しかし小学校高学年(だと思う)にもなって一人称で自分の名を言ったりするなよ、みっともないから。
 麻美の父の教育方針は正しいと思う、筆者も男女差別には反対だ。ただ、差別ではなく区別はある程度必要だとは思う、やはり心身的な男女の特性の違いというのは無視できない。単純に異性の真似をするというのはどうかとは思う。
 麻美に吹き込んで大人への反感を培うバッファロー怪人おじさん。戸惑い、父親への悪口には反発する麻美。所詮子供だ。
 麻美率いる子供軍団の進軍の場面の行進曲、前々からしょっちゅう使われているが未だに出典を知らず、明らかに川村音楽ではない。
 突然大変な力を手に入れ、初めのうちはちやほやされても、やがて恐れられ、疎んじられるようになる。実にこれこそ多くの変身ヒーローが正体を隠さねばならぬ理由の一つだと思う。人間とは、自分とは異質な対象については畏敬の念ばかりでなく反感や違和感をも抱きがちだ。
 麻美と光太郎の戦い、勿論光太郎は本気を出して戦うわけにはいかない。結局、麻美の精神力こそバッファロー怪人を追い出す決め手であった。V1a、実に苦悩を抱いての戦いの曲だ。
 今回のゴルゴムの目論見、相変わらず「風が吹けば桶屋が儲かる」方式。たかが怪力少女一人、せいぜいバラエティー番組に登場する程度だろう。
 バッファロー怪人の人間体を演じたのは「科学戦隊ダイナマン」島洋介役、卯木浩二。麻美の父役の沼崎悠は「テツワン探偵ロボタック」の高峯裕一郎役。
 エンディングのクレジットの配列に変化あり、前澤範とレインボー造型企画が分離して、野口竜と高寺成紀が後ろの方になっている。また、蓑輪雅夫の名字が簑輪と誤記されている、つくづく誤記されやすい名字である。

クレジット

オープニング

仮面ライダーBLACK         吉川 進         堀 長文          (東映) プロデューサー         井口 亮         山田尚良         (毎日放送) 原作 石森章太郎    少年サンデー    てれびくん 連載 コロコロコミック    小学館学習雑誌    テレビランド 脚本 杉村 升 音楽 川村栄二     主題歌 「仮面ライダー  「LONG LONG AGO, ・   BLACK」  20TH CENTURY」   作詩 阿木燿子   作曲 宇崎竜童   編曲 川村栄二   歌 倉田てつを 歌 坂井紀雄     (コロムビアレコードCK‐797) 南 光太郎 仮面ライダーBLACK  倉田てつを 秋月杏子  井上明美 紀田克美  田口あゆみ 湯原弘美 卯木浩二 沼崎 悠 小野洋子 五野上 力 城 春樹 望月則夫 若山雷蔵 柴崎丹行 鈴木信明 岡元次郎 北村隆幸 山本貴浩 末永貴久 渡辺 実 (ジャパン・アクション・クラブ) アクション監督  金田 治  村上 潤   (ジャパン・アクション・クラブ)
ナレーター 小林清志 ダロムの声 飯塚昭三 大神宮ダロム  庄司浩和 大神宮バラオム  高橋利道 剣聖ビルゲニア  吉田 淳 大神官ビシュム  好井ひとみ 監督  蔦林淳望

エンディング

撮 影 松村文雄 照 明 中川勇雄 美 術 井上 明 造 型 前澤 範 録 音 太田克己 編 集 菅野順吉 選 曲 茶畑三男 効 果 大泉音映
製作担当 寺崎英世 進行主任 竹内洪太 助監督 簑輪雅夫 計 測 岡部正治 記 録 天池芳美 製作デスク 岩永恭一郎 装 置 東映美術センター 操 演 国米修市 美 粧 サン・メイク 衣 裳 東京衣裳 装 飾 大晃商会 資料担当 小佐野 聡      (石森プロ) キャラクター製作 レインボー造型企画 イラスト 野口 竜 プロデューサー補 高寺成紀 合 成 チャンネル16 現 像 東映化学 オートバイ協力   S SUZUKI
ビデオ合成 東通ECGシステム   峰沢和夫 近藤弘志   前岡良徹 鈴木康夫 (株)特撮研究所 操 演 鈴木 昶     尾上克郎 撮 影 高橋政千 照 明 加藤純弘 美 術 佛田 洋 特撮監督  矢島信男     △東映 製 作     毎日放送

使用音楽一覧
場面番号または歌曲名音楽メニュー
子供達の野球「仮面ライダーBLACK〜星のララバイ〜
インストゥルメンタル」
麻美退場M17平和
副題M48b別サブタイトル
バッファロー怪人M20世紀王脱走
正体を表すバッファロー怪人V8イントロのみ策謀
麻美に迫るバッファロー怪人M45T2コーダのみ怪人出撃
麻美大活躍V6マシン激闘
麻美大暴れM8闇の視線
バッファロー怪人の本性M34おぞましき姿
おじさん再び登場M5怪人の足音
光太郎対麻美M15怪人出現
バッファロー怪人出現M45T2怪人出現
変身V0ヒーロー登場
BLACK対麻美V8絶体絶命!
三神官高笑い、光太郎の捜索M20世紀王脱走
麻美の逆襲M34(uptempo)迫りくる怪人
光太郎対麻美M15怪人出現
麻美の戦いV1aT2燃える想い
変身「変身! ライダーブラック」
イントロとコーダのみ
戦闘「仮面ライダーBLACK」
麻美救出M9凱歌
走る光太郎「ブラックホール・メッセージ」
イントロとコーダのみ


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