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菊池利美事務所

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■修理費として認められる範囲

 交通事故の被害者であれば、被害にあった車を全て修理してもらうのは当然の権利だと思いますが、現実には微妙な問題があり、思わぬ問題が起きることがあります。少し注意すべき点を説明したいと思います。

 物損事故の修理費用について争いになる事は、それほど多くないと思いますが、この際、ついでに以前から壊れていた所も修理するか、と安易な気持ちで修理を頼むと後で問題を起こします。もちろん、その部分は事故と関係ないと、自分で支払えば問題にはなりませんが、この位は分からないだろうと、ごまかして一緒に請求する事は出来ません。普通は修理工場の見積もりどおり、またはアジャスターの査定どおりに修理がされ、その全額が修理費用として請求できます。

 自動車の修理で一番問題となるのが、塗装とパネル交換です。損害賠償する方は安くしたいから部分的な塗装でよいと考えるし、修理してもらう方は、部分的では色が変わるので全部の塗装をして欲しい。その判断が難しいところです。これについて一般的な基準はなく、あくまで個別に協議して決めることになります。

●全面塗装が認められる場合の判例

(1)

特殊な塗装をしているため、破損部分のみの吹き付け塗装では他の部分との差が明確で、美観を害する場合。

(2)

自動車自体が高価なもので、しかもその価値の大部分が外観にかかわっている場合。

(3)

部分塗装でも全塗装でも費用があまり変わらない場合。

■車の評価額より修理代が高い場合

 車の破損状態が激しく全損と認められる場合は、その車と同等の車に変えかえることになります。この場合は、その車の評価額からスクラップにして得られる金額を引いた金額が損害額となります。
 もう一つ、笑えない問題ですが私の車のような古い車は、評価額が低く、少しの修理でも、すぐに評価額を超えてしまいます。修理して乗ろうとしても修理が認められないこともありうることです。こうした事例は意外にあるようで、例えば修理費用に50万円かかるとして、車両の時価額は30万円しかない場合などでは、いくら被害者の強い修理の希望があっても、賠償請求できるのは時価額の30万円までということになります。

■車両の時価額

 車の修理は、時価額が限度であることは前に説明しました。では、時価額とは何でしょうか。 昭和49415日の最高裁判決によれば「中古車の事故当時における取引価格は、車種、年式、型、同程度の使用伏態・走行距離等中古車市場で取得しうる価額によって定めるべきである」ということです。すごく当たり前の判決ですが、これが基本です。

 時価額を出す方法としてはレッドブック(オートガイド社の自動車価格月報)を基にするのが一般的な方法のようですが、私は、それとは別に、自動車保険の加入のときに使用する車輌標準価格表をを参考にしています。初度登録から間がないため、中古市場価格が形成されていない場合や、10年以上たっていて中古車の流通がない場合などに税法による減価償却費の計算による方法で評価する場合がありますが、この方法で評価すると、評価額は低くなるように感じています。
●減価償却費の計算方法
 減価償却の方法には、定額法と定率法がありますが、自動車の時価の算定の場合は定率法を用いるのが主流です。(定額法よりも定率法で計算すると、車の評価額は下がります)
(300万円の普通乗用車を半年使用
 減価償却費 300万円×償却率(0.319)×6月÷12月=478,500円
 車の評価額=3,000,000-478,500 2,521,500
 (注)償却率は、軽自動車が4年で0.319
           貨物自動車が5年で0.369
           普通乗用車が6年で0.319 です

 時価額が無くとも、車検の残り期間をもとに時価を算出した判例があります。その判例は、『初度登録から14年以上経過し、交換価値があったとは認められないが、使用価値は認められるとして、車検期間満了まで日額2,000円の割で、192,000円の車両損害を認定』したものです。

■全損と分損とは

 専門用語に近い耳慣れない言葉に、全損と分損という言葉があります。
 事故にあった車が、修理が可能な場合を分損といい、修理費用が損害額となります。
 これに対して物理的に修理不可能な損傷を全損といいます(物理的全損)。それに加えて、修理するよりも買い換えたほうが経済的だという場合もあります(経済的全損)。その場合は車両の時価額が損害となります。

■車の買い替え(買替差額費)

 事故にあった車を修理するより買え替えたほうが良いと考える場合が多いと思います。物理的全損、または経済的全損、および車体の本質的構成部分に重大損傷が生じたときは事故車を買い替えるのが普通です。
 この判断も、保険会社とよくもめる問題ですが、買い替えした場合は、車両の時価とその売却代金の差額が損害になります。
 売却代金といっても現実には買う人がいませんから、スクラップ代ということになります。その場合、スクラップ代を得られなければこれを控除する必要はありません。リサイクル法により廃車費用はかからなくなりましたが、車の搬送費用を請求される場合があります。その場合は、控除するのはその差額です。

 例えば、全損に至らなくても、車両を買い換えることが相当な場合があります。これはフレームなどの車体の本質的構造部分に重大損傷が生じたとが客観的に認められ、その買い替えをすることが社会的に相当な場合です。

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