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菊池利美事務所

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■高次脳機能障害の症状

 救急救命技術の発達によって、交通事故で脳に重大な損傷を受け、意識不明に陥ったにもかかわらず、奇跡的に意識を回復する被害者が多くなりました。
 その中には、脳損傷については治癒(ちゆ)と診断され、社会復帰する人も多いのですが、それらの被害者の中には、一見元に戻ったように見えても、脳に損傷が残っているため、事故前とは人が変わったように怒りっぽくなったり、幼稚になった、羞恥心がなくなった、複雑な作業ができない、日常生活にも支障があるなどの様々な症状が出る場合があります。外からわかる身体障害とは異なり、周りの人が障害であることを理解できないで人間関係を悪化させることがあります。
 しかし高次脳機能障害は、交通事故や労働災害などの事故による頭部外傷以外にも、脳梗塞、脳内出血、くも膜下出血、アルツハイマー病などでも起こりうるとされています。
 頭部外傷は頭蓋骨骨折、局所性損傷(脳挫傷や硬膜外血腫)、びまん性脳損傷(脳震盪やびまん性軸索損傷)などに分けられます。

◆典型的な症状の例
@巣症状型
・失語=うまく話せない、言葉の間違いがい多い、等
・失認=物の名前、人の名前が思い出せない、図形の区別ができない、道に迷う、名前がわかっても意味が分からない、等
・失行=服の着脱ができない、歩けない、折り紙ができない、道具が使えない、作業ができない、等
Aびまん性軸索症状型
・知的障害(認知障害)=物忘れがひどい、記憶できない、判断力の低下、計画的行動できない、自己洞察力が低下する、等
・性格・人格変化(情動障害)=過食、過剰な動作、感情の起伏が激しくなる、気分が変わりやすくなる、場所をわきまえずに怒る、大声を出す、怒りっぽくなる、幼稚になる、羞恥心がなくなる、話がまわりくどい、人格の変化、等

■びまん性軸索損傷の症状と交通事故との因果関係 

 びまん性軸索損傷の「瀰漫(びまん)」とは、一面に広がりはびこり、満ちることです。「軸索(じくさく)」とは、神経細胞から伸びる1本の長い突起(神経繊維)のことです。
 びまん性軸索損傷は、CTなどの画像上では大脳に明確な形態的異常は見られないが、神経軸索が断線しているために機能障害が生じます。
 こうした症状の特徴(CTなどの画像上では一見明白な脳の損傷が見られず、損傷部位の特定ができない)から、
びまん性軸索損傷は、障害と事故との因果関係を特定されにくく、本当は交通事故が原因であったとしても、それが認められにくいという問題点があります。

交通事故による高次脳機能障害




交通事故による高次脳機能障害かどうかの判断基準は次の通り示されされえています。

意識障害の有無とその程度
昏睡ー半昏睡で、刺激による開眼をしない程度の意識障害が6時間以上続く場合は永続的な高次脳機能障害が残る場合が多い。健忘症―軽症意識障害が1週間ほど続く場合も高次脳機能障害が残ることがある。

画像所見
急性期における脳内の出血。慢性期における脳室拡大・脳の萎縮が見られる。

因果関係の判定
上記の意識障害の有無、画像所見により判断されます。

 

 交通事故による高次脳機能障害かどうかの判断基準は、様々な症状や個人の病歴などを総合して判断されますから、この説明はごく基本的な解説にとどめます。

■高次脳機能障害と後遺障害等級

 交通事故による高次脳機能障害かどうかの判断基準が難しく、申請してもスンナリ認定されない場合が多いと思いますが、自賠責保険の支払いでは、損害保険料率算出機構が全国に設置する損害調査事務所が後遺障害の認定を行いますが、高次脳機能障害に関する特定事案については『高次脳機能障害専門部会』という特別な機関によって手続きが行われています。

 高次脳機能障害の等級は、次の通りです。

@1等級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
(高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、常に他人の介護を要するもの)
A2等級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
(高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身の回り処理の動作について、随時介護を要するもの)
B3等級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
(生命維持に必要な身の回り処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの)
C5等級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
(高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの)
D7等級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
(高次脳機能障害のため、軽易な労務にしか服することができないもの)
E9等級
神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
(通常の労務には服することができるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職種の範囲が相当な程度に制限されるもの)
F12等級
局部にがん固な神経症状を残すもの
(通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの)
G14等級
局部に神経症状を残すもの
(通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、軽微な障害を残すもの)

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