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菊池利美事務所

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◇損保会社と評価損(格落ち損害)

 物損事故における事故車は修理することになりますが、同じ年式の同じ車種でも中古車として販売するときは事故車が安いのが普通です。これを格落ち損害といい、評価損が生じることになります。損保会社は普通、評価損(格落ち損害)を認めていません。特別な例外を除き、必ず否定してくると思っていたほうが良いと思います。

しかし、購入して間もない場合や、修理しても機能的に回復しない場合は評価損を認める判例が多いですから粘り強く交渉してみることをお奨めします。

◇実損主義と評価主義

評価損には、実損主義と評価主義の考え方があります。

◆実損主義
(1)修理によっても完全に回復しなかった機能上の障害や美観上の問題がある場合に評価損を認める。
(2)事故により通常使用が可能とされる期間が短縮される場合に評価損を認める。

◆評価主義
(1)経験則上、事故歴のある車は、下取り価格が下落するので、評価損を認める。現実に下取り交換に出されたどうかも問題にされないという立場。

◇判例にみる評価損

(1)10%の評価損
初年度登録が昭和60年のBMWの車輌が平成2年に事故にあい、修理費用64万円の10%相当の6万円が格落損害と認めた判例(平成4年名古屋地裁)

220%の評価損
初年度登録が昭和57年のジャガーを昭和61年に600万円で購入し、昭和62年に事故にあい、修理しないで200万円で第三者に売却した事件で、売却損をそのまま評価損と認めず、経験則上、修理費の27万円が相当とし判例(平成1年大阪地裁)
20%の評価損を認めた判例が多いように思います。

225%の評価損
事故車は後部損傷をうけ、フレームに歪みが生じ、修理してもドアやトランクに不具合が残っているとして20万円(修理費の25%)の評価損を認めた判例(平成5年大阪地裁)

330%の評価損
軽乗用車が衝突事故により評価落ちの限度は、修理費の3割程度であることは公知の事実であるとして、評価損を3万円と認めた判例(昭和47年東京地裁)

435%の評価損
被害者は事故の直前、業者との間でベンツを350万円で下取りに出す契約を締結したが、事故により230万円に減損。差額が評価損であるとした訴えに、評価損は修理代の35%の38万円と認めた判例(平成4年名古屋地裁)

540%の評価損
被害者は事故の前に、ポルシェを750万円で販売する約束が出来ていたので、250万円の評価損を主張するが、中古車の平均価格が650万円、下取り価格が450万円と差が大きすぎるので、修理代の40%の134万円が相当と認めた判例(平成7年岡山地裁)

635万円の評価損
被害車輌(キャデラック)の修理をしても部分塗装による色むらが残る可能性を認め、評価損を35万円と認めた判例(平成7年東京地裁)

721万円の評価損
被害車輌(フェアレディZ)の修理を行ったディラー担当者が、修理後の被害車輌の下取りをする場合は、査定落ちは21万円と意見を述べ、加害者が特に反論しないので評価損を21万円と認めた判例(平成7年横浜地裁)

853万円の評価損
被害車輌(メレスデスベンツ)の修理を完全に行ったとしても事故暦のある車は下落するとの事情があり、事故日が初年度登録であったことを考慮して、被害者主張どおり評価損を53万円と認めた判例(平成8年神戸地裁)

◇評価損の算定

評価損をめぐる裁判例では、修理費の一定割合を評価損とするものが主流で、20〜30%が認められる例が多いですが、諸事情を勘案して10%の事もあれば50%以上のこともあります。

財団法人日本自動車査定協会の発行する証明書で、事故減価額証明書というものがあります。事故減価額証明書の証拠価値は概ね認められているようですが、必ずしもその数値がそのまま評価損と認められるものではなく、その通り認められる判例もありますが、それより低めに算定されている裁判例も多いようです。

◇保険会社が評価損を認めてくれない

損保会社は、通常評価損は認めてくれませんので、交渉は上手にしなければなりません。

交渉にあたっては、今までの経過にもよりますが請求書や請求根拠を示す資料を揃える必要があります。
具体的には、請求書(修理費用、代車費用、評価損など費目別に整理したもの)、修理明細や判例などになるでしょう。事故減価額証明は有料でもあり、絶対に必要ということはないのですが、自分で必要と思う場合は取っておいても良いでしょう。

絶対の自信があって交渉しても損保会社はなかなか応じてはくれません。
一度専門の行政書士などに相談してみることもひとつの方法です。
ただし、行政書士が示談交渉代理をする事は弁護士法で禁じられていますので、相手方と代わりに交渉する事はありません。また、評価損を確実に認めてもらえることを保証するものでもありません。

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