「石森萬画館」第八十五回訪問記

平成二十六年三月十五日(土)

 十五、十六日の両日、「シージェッター海斗10周年記念イベント」開催。都合で初日のみ見物。
 七時六分水沢発、小牛田から石巻線マンガッタンライナーで十時八分石巻着。雪は見当たらぬ石巻市、晴れで風強し。去年の三月もそうだった。
 八幡家休み。
 中瀬に入る。珍しく正面から入館し、まず墨汁一滴辺りを見る。既に大勢の客で賑わっている館内。まだ何も買わぬ。
 神戸市から来た御当地キャラ・わるタンが徘徊している。
 十一時のからくり時計終了後、向かいの正面特別ステージにて海斗ショー&握手記念撮影会。上演前に司会者から、今回の新作の録画録音は禁止、静止画撮影のみ可である旨が告げられる。海斗と帝国三大怪人勢揃いの新作。前々から仄めかされてはいたが、衝撃の事実が明かされる。観客の間からもエーッと言う声が上がる。
 会場には食品の屋台がいくつも出ている。石巻焼きそばやフライドポテトを買って、行儀が悪いが立ち喰い。
 いい香りが漂う。十一時四十分頃から同じ会場内でヒメラニアン汁振る舞い。筆者が行列の一番。クラブアビシスとミャーガノイドにちなんで蟹の身、ヒトデ形に切った人参、その他里芋や豆腐等が入っている汁物である。さすがにシャークアビシス(ふかひれ)は入っていない。
 館の関係者達と挨拶を交わす。
 一度中瀬を出る。マルシェで無料貸し自転車を借りて日和山に向けて出発。いつもの旧市役所前の坂道を上るが乗ったまま上り切るのはさすがにきつい、一部区間は降りて押す。自転車を駐車場に置いてから日和山公園に入り、海の方に向かって拝礼する。十一日から四日遅れの拝礼。折りからの強風で帽子が崖下に飛ばされてしまい、回収するのに少し苦労する。神社参拝もする。金兵衛茶屋のラーメン一杯を以て昼食とする。
 往路とは別の、川に近い方の坂を下るが、あまりの急斜面に恐怖を感じてやはり降りて押して歩いてしまう。それでもあっと言う間に麓まで下る。
 マルシェに自転車を返却して再び中瀬、先程の会場に戻る。十三時から十三時半まで、RIDER CHIPSトーク&ミニライブ(チラシ等はRAIDER CHIPSと誤記)。観客は海斗ショーよりも多い。一昨年の萬画館再開時に来場し、再訪を約していた野村義男が約束を果たす。但し、実際に演じたのはギターの野村とボーカルのRickyのみで、ベースの寺沢功一とドラムスのJOEは挨拶のみ。晴れ、強風のまま小雪もちらついたりして、出演者達は口々に寒いと言う。翌日仙台市で公演をすると言う。「レッツゴー!ライダーキック」「君がそこにいるのを知っている」「フォレスト ウィンド」の三曲披露。演奏の後、特製の記念ピックが配布される。
 引き続き十三時四十分から遠藤正明アニソンLIVE。遠藤は「頼りなかったヒーローがここまで来た」「私も海斗と共に成長した」と語り、またこの寒さで衣装を失敗したと言う。曲目は次のとおり。

 舞台には海斗とファリンクスも登場し、ファリンクスを遠藤は「お父さん!」と紹介する。十四時二十分まで。
 やっと企画に向かう。第53回特別企画展「MACROSS:THE MUSEUM ver.1.01」この日から七月六日(日)まで。マクロスシリーズについての巡回展である。
 この段落は長くて複雑である。実は筆者はガンダムよりもマクロス愛好家である。「超時空要塞マクロス」世代人なのは言うまでもない(但し、初代を見たのは本放送ではなく昭和五十八年東北放送毎週金曜日の再放送)。後の平成六年にテレビ「マクロス7」、OVA「マクロスプラス」を見て、更にOVA「超時空要塞マクロスII」も見たが平成諸作品に納得できず、初代のテレビシリーズと「愛・おぼえていますか」のLDを一気に揃えてしまったと言う経験の持ち主(だから特撮でもアニメでも、シリーズ第一作至上主義、旧作否定論者の感情は理解する)。「マクロスF」は岩手放送で二年くらいの遅れで放送されたのを見た。今から二年前にはBS11で「超時空ゼミナール!」、BSスカパー!の無料放送で「マクロスゼロ」を見た。「F」の劇場版は結果として岩手県にも来たが、待ち切れず仙台市に見に行っている。このとおりシリーズの本流はひととおり見ているが劇場版やOVAで数本未見の作品はある。「Ζ」の途中から見なくなったガンダムとは違い、今も新作を見ている。「歌とメカと三角関係」に象徴されるマクロスシリーズ、歌の力で戦争を止めると言うのは斬新だったし、バルキリーの変形機構も画期的だった。既に一般常識、普通名詞化しているガンダムの諸事象には及ばないにしても、マクロスシリーズもロボットアニメ史に残るシリーズである。マクロス三十周年公式サイトからは今も最新情報が発信されており、各地での催し物を羨ましく思っていたら萬画館での開催で願ったりかなったり。今回の企画展は、統合軍の博物館の一部と言う想定。
 萬画館の展示の杜撰さは常に指摘しているとおり。今回は既に他所で開催済みの巡回展なので安心、期待していたら、企画に入室五秒でパネルの誤りを発見。すぐアテンダントに通報する。82年10月に始まった番組が82年6月に終わるわけないだろ。
 実物大バルキリーの操縦席に乗り込んで記念撮影ができる。
 展示の主体はバルキリーと歴代歌姫。特にバルキリーは数十種類の模型が展示されており、また同一機種の複数の模型を使って変形の様子を連続写真のように展示している。マグマ大使以来、航空機が人型ロボットに変形する例はいろいろあるが、機首がロボットの頭ではなく下半身になるのが当時筆者には衝撃的だった。展示の断り書きにもあるように、デストロイドやSDF‐1その他艦船の展示は殆ど無い。やはり、テレビシリーズである初代、「7」、「F」が展示の中心だが、「II」もしっかり展示されている。展示の最後尾の方に設定資料があり、初代の企画段階でのデザイン画「アームド1」はまだスーパーロボットの色彩が濃い。当時の玩具、文具等の展示もある。客層はやはりその筋の愛好家が多い。「マクロスが見たい」と親にせがむ幼児は多くはないだろう。
 三階ライブラリーも缶バッジ作り等で盛況。ここは子供が多い。久方振りに会えた「お嬢様」。
 三階の廊下で「シージェッター海斗10年間の歩み」展。壁面に写真と年表が飾られている。完全に無かった事にされているアカシオン大佐。
 海斗特別編を見たのも何回目か最早判らない。
 館内徘徊。
 作田嶋神社こそ復興が一向に進まぬ施設の一つ。参拝してから萬画館に戻る途中で、かき小屋に団体客がぞろぞろと入っていくのを見る。
 今回、墨汁一滴で購入するのはパンの缶詰全三種とかりんとう。缶詰の品名はそれぞれグローバル缶長、マックス缶長、ジェフリー缶長。各人の絵が缶に描かれている。かりんとうの品名はランカりんとう。既報のとおり、今回は駄洒落商品が多数発売されている。実に馬鹿馬鹿しい駄洒落商品、大好きだ。そもそもマンガッタン自体が駄洒落であり、キカイダー、イナズマン、ゴレンジャー等、多くの石森ヒーローの名もまた然り。
 十七時十一分の小牛田行に乗り、十九時五十五分水沢着。

 遂に来たマクロス! 初めから断り書きにあるように展示の分野に偏りが見られるが、それでも初代やFばかりでなく、OVA作品もそれなりに展示されているのは良い。
 今回の駄洒落商品はもう最高である。今後も、萬画館に巡回展が来たらいろいろ駄洒落商品を作って欲しい。
 海斗新作、愈々大きな展開。十年掛けて尚「つづく」。一時期の停滞が嘘のような、ここ数年の物語の進展ぶりである。

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