その三の二 全話鑑賞記執筆を了えて・作品編

 筆者の「BLACK」通覧は三回。最初は番組本放送時、二度目は平成四年からのビデオソフト発売時。そして今般のLD発売、「帝國」建設に際してが三度目。鑑賞の度に新たなる発見がある。
 鑑賞記執筆に当たって心掛けたこと、それはできるだけ「ライダーシリーズ」旧作との比較はしないということ。「仮面ライダー何作目」ではなく、「シャンゼリオン」や「マシンマン」のような単発のヒーロー番組として叙述し、一特撮作品として絶対評価することを目指した。「ウルトラ」でも「ゴジラ」でもそうだが、「シリーズ最新作」にはどうしても旧作と比較してどうだという評価の仕方がつきまとうが、旧作の物差しで計っては往々にして新作のよさが見えてこない。旧作愛好家よ、「『BLACK』は『仮面ライダー』らしくない」と言いたければ言え、この番組は「仮面ライダー」に非ずして「仮面ライダーBLACK」なり!
 番組の流れの概観。初期には怪奇色の濃厚な噺が多い。やはりその筆頭は#5であろう。怪宗教に乗っ取られた山村、夜な夜な挙行される不気味な儀式、そして村民達の狂態。その他にも、#3、#4、#7等は、ゴルゴム組織自体の不気味さ、恐怖を強調している。その一方で、#9、#10というどうしようもない大駄作も出現しているけれど。 大宮、黒松、坂田の「土下座三人組」(勝手に命名)の活躍も特徴だろう。怪人よりも寧ろ人間構成員が働いている回の存在。回によっては#10の如く怪人登場の必然性すら無いのもある。
 #17で華々しく登場した剣聖ビルゲニア。毎回BLACKと激突するわけではないものの、多種多様な策略でBLACKを斃そうとする剣聖の活躍。筆者はこの時期こそ、剣聖の面白さとなかなか復活しない地獄王子への苛立ちが相俟って、最も熱を上げて番組を視聴していたように思う。剣聖は本命の地獄王子復活までの間、番組を盛り上げた立役者である。そしてその盛り上がりは地獄王子復活三部作で最高潮に達する。
 #34、#35、#36の地獄王子復活三部作は「BLACK」中盤最大の山であり、全体の中でも白眉と言うべきだろう。実に緊迫感に満ちた見応えのある内容。
 地獄王子復活後は一段落か、#37から#44まではさほど緊迫感は感じられない。特筆事項といえば「バリバリ夕張」か。
 そして#45からの最終決戦七作。大怪人の相次ぐ戦死、そしてBLACKの死、復活、最終対決へと、一気になだれ込んでいく。#48は回想場面が長くて少々緩んでいるような印象もあるが。
 劇場版二本。一作目は劇場版にしては多少地味な印象、内容自体暗い。二作目は亡霊怪人軍団や一足早い両世紀王の対決等、華やかな印象がある。対照的な二本。
 総じて、シリーズ構成に多少問題を感じるが(東堂の扱いや地獄王子の言動等)、番組の姿勢自体は一年間を通してしっかりしていたと思う。運命に弄ばれた両世紀王の悲劇、そして人間の自由とは何かという問い。路線変更による迷走も無かったし、レギュラー登場人物それぞれの性格付けもきちんとしていた。
 「仮面ライダーBLACK」傑作である。

(平成十一年元旦)

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