筆者が所謂BGMというものを意識し始めたのはいつのことか。幼時の記憶を遡ってみると、「水戸黄門」の印籠の場面の音楽と、「サンバルカン」の「M‐7の2」辺りが初めだと思う。前者についてはもう本当に物心つくか否かの頃から。あの神楽を聞くと、平伏する悪人達の「ヘヘーッ」がすぐ想起される。後者は小二の時、あの「ジャンジャンジャンジャン…」が流れてくると、ああ、巨大化の音楽だと感じた。しかしこの時点では、まだ作曲家を意識するには至っていない。
昭和六十二年、十三歳の誕生日祝いに父からラジカセを贈られる。これが音楽に関心を持つきっかけの一つになる。アポロン(当時)の幼児向け絵本付きカセット「ウルトラセブンのすべて」が初めて購入した音盤。
作曲家に思いを致した最初は、やはりこれが「BLACK」なのである。番組開始当時の筆者は、川村栄二は勿論、宙明、俊輔、そして大好きな「ウルトラ」の冬木の名も知らない。この頃、川村は日テレの「銭形平次」の音楽も担当していた。「BLACK」「銭形」両番組を見ていて、どうも音楽が似ていると気付いたのが川村の名を憶えたきっかけ。
そして翌年、「BLACK」終了後だったと思うが、小遣いをはたいて「BLACK」音楽集カセットを購入。筆者のサントラ購入第一号である。V7aで感激した記憶がある。尚、これは店頭にあったのを購入したのではなく、目録を見て取り寄せを依頼したもの。以来、特撮、アニメ音盤や書籍の取り寄せ依頼は今も平気な筆者である、人によっては恥ずかしいそうなのだが。続いてヒット曲集カセット。
平成元年秋、AM神戸のアニメ・特撮音楽番組「青春ラジメニア」を聴き始める。雑音、眠気と戦いつつ毎週熱心に聴き、いろいろな事を学んだ。ウルトラ冬木音楽の「ワンダバ」という言葉を憶えたのもこの番組から。余談ながら、この番組は今でも続く長寿番組であり、また、正直&岩手富士は嘗て名物コーナー「チェック天誅」の常連として時折物議を醸した。同年冬、「ゴジラVSビオランテ」音楽集カセット購入。初めて購入した映画音楽集であり、最後に購入した音楽カセットであった。
二年の夏休み、コカコーラ夏のプレゼントキャンペーンでポータブルCDプレイヤーを入手。それで既に「BLACK」音盤購入以来利用していたCD屋に走り、店頭の「ウインスペクター」音楽集を購入。早速自室で再生してみて、その明瞭な音質に感動した。テレビでイラクのクウェート侵攻が報じられていた暑い日の記憶だ。以来、メタルヒーローの音楽集、ヒット曲集は全て揃えるようになった。戦隊については「ジュウレンジャー」以降。
実にそれ以来CDをいろいろ買いまくった。「RX」音楽集とヒット曲集を買ったのも番組終了後、ということになる。「RX」のアルバムはかなり後まで「ANIMEX」に掲載されていた。「BLACK」「RX」の二作で完全に川村音楽愛好家になり、そして高卒の頃までには宙明、俊輔、冬木、伊福部の名を憶えていた。「組曲 仮面ライダー」を購入したのもこの頃。テレビで「ゲッターロボ號」の音楽を聴いた時には、ああ、実に宙明節だと感じるようになっていた、「ジバン」の時にはまだ「宇宙刑事」の人だとも知らなかったのに。
高校時代は一連の伊福部ゴジラ音楽や、冬木、風戸慎介のウルトラ音楽の影響で、特撮音楽はオーケストラに限る、と思っていた。それが就職の年、四年に放送されたWOWOWの東宝特撮特集で見た「ゴジラ対メカゴジラ」でブラスもいいものだと思うようになった。今ではゴジラ音楽については伊福部よりも佐藤勝の方が好きである。
ここ数年、川村は「ZO」「J」の音楽をも担当して、ライダーシリーズにおける俊輔の後継者になったような趣があり(尤も、ライダーシリーズ自体は「J」で止まっているが)、「ダイレンジャー」「カクレンジャー」「ビーファイター」と、戦隊、メタルヒーローも手掛け、東映の三大シリーズを制覇した格好だ。選曲者の問題だが、「ビーファイター」ではやたら川村ライダー音楽が流用されていたのが印象深い(番組の内容もかなり「BLACK」風味だったが)。川村は他にVシネマ「女バトルコップ」「大予言」も担当しているのだが、これらは筆者見る機会を逸してしまって、未見である。音盤も未入手。
以上が、筆者の今までの特撮音楽鑑賞歴。