#9「ビシュムの紅い唇」

昭和六十二年十一月二十九日放送 脚本・宮下隼一 監督・蔦林淳望
登場怪人・ハチ怪人

粗筋

 ゴルゴムはハチ怪人の卵が埋め込まれたペンダントを街に出回らせる。その卵からはやがてハチ怪人の子が出現、ペンダントをしていた人間を刺してしまう。ストリートクイーンの座を争ってかほるに敗れた悦子はビシュムに目を付けられ、ストリートクイーンにしてやるというビシュムの甘言に乗り、街頭でハチ怪人のペンダントを売るようになる。
 ペンダント販売が大繁盛の悦子の組に対してかほるの組が因縁を付ける。両組が揉み合いになったところに光太郎割って入る。やがて恐ろしくなった悦子、その場から逃げ出し、皆がこれを追う。建物の屋上に皆が集まったところにハチ怪人出現、悦子とかほるを連れ去ってしまう。光太郎は変身してこれを追い、そして斃す。この間、悦子とかほるは異空間に引きずり込まれそうになるが、何とか助け合ってこらえる。
 事件解決後、悦子とかほるは和解。共に踊る両組。

暗黒大公曰く

 確かに今回の作戦主任はビシュムなのだが、題名と内容が全くかみ合っていない。そしてまた今回のゴルゴムの作戦が文明破壊人類抹殺のような崇高な目的とは程遠い。どうせ都会を襲撃するならもっと襲うべき場所が他にあろう。
 とにかく光太郎の行動が傍目にはいちいち不審、突飛である。キャピトラ組の買い物に付き合っているのはいいとして、持参したのかその辺で買ったのか、若者の街の街角で新聞を読んでいる十九歳と言うのは異様な光景である。これが平成二十年代、携帯端末でニュースサイトでも見ているのなら不自然ではないが何分にも本作は昭和末期だ。ペンダントの調査で街頭で女性二人組に声を掛けるが女性達の最初の反応は「アンケートならお断りよ」「チケットも要りませえん」どうも光太郎はダフ屋程度にしか見えなかったらしい。キャピトラ組は既にゴルゴムを知っているにしても、彼女達にゴルゴムの事を全く告げずに「説明している暇は無い」の台詞を残して単独行動開始、もうゴルゴム臭を独自に嗅ぎ付けるといても立ってもいられない光太郎。
 そして悦子、かほる両組の喧嘩の現場に駆けつけて何の説明も無しに「そのペンダントは危険だ」「ゴルゴムの策略」を叫ぶ光太郎、そんな調子だから変人扱いされる。街頭販売の場から逃げた悦子に追いついてから無理にペンダントを取り上げようとする場面、他の人が目撃したら間違いなく光太郎を痴漢か強盗と思うだろう。
 ゴルゴム提供のペンダントで大儲けのはずの悦子組。その悦子が突然、購入者にペンダント放棄を訴えればそれもまた奇矯である。事件解決後にも悦子組が変わらず公衆の面前で踊っていたところを見ると、悦子組は世間に変な物を売り付けて迷惑を掛けた事について、謝罪や返金等、きちんと後始末が済んだのであろうか。都会の真ん中で、少なからぬ人々を巻き込んだと思われる今回の事件だが警察が動いた気配は無い。
 今回の変身は原宿の市街地で。光太郎よ、本当に正体を隠すつもりはあるのか?
 かほる役の小原靖子は御存じ相原勇。悦子組の一人、トオルは「恐竜戦隊ジュウレンジャー」トリケラレンジャー・ダンの藤原秀樹。
 悦子の走り方がすごい。腕を横に振り、足をあまり高く上げない。一見競歩のようだ。
 書籍等では「予言の大神官」とも言われているビシュム。やはり作戦主任だった#3と同様に地獄絵図の予想図を見せている。しかし当てにならない予言者。

クレジット

オープニング

仮面ライダーBLACK         吉川 進         堀 長文          (東映) プロデューサー         井口 亮         山田尚良         (毎日放送) 原作 石森章太郎    少年サンデー    てれびくん 連載 コロコロコミック    小学館学習雑誌    テレビランド 脚本 宮下隼一 音楽 川村栄二     主題歌 「仮面ライダー  「LONG LONG AGO, ・   BLACK」  20TH CENTURY」   作詩 阿木燿子   作曲 宇崎竜童   編曲 川村栄二   歌 倉田てつを 歌 坂井紀雄     (コロムビアレコードCK‐797) 南 光太郎 仮面ライダーBLACK  倉田てつを 秋月杏子  井上明美 紀田克美  田口あゆみ 江馬小百合 小原靖子 藤原秀樹 矢葺義晴 芝原チヤコ 有山昭子 小原 剛 田村裕稔 川地雄二 小林 登 村田和久 鈴木浩司 小野義昭 大津和世 村山恵子 栗田聖佐晃 大矢ゆかり 山形政彦 岡元次郎 釼持 誠 北村隆幸 内田博之 渡辺 実 (ジャパン・アクション・クラブ) アクション監督  金田 治   (ジャパン・アクション・クラブ)
ナレーター 小林清志 ダロムの声 飯塚昭三 大神官ビシュム  好井ひとみ 大神官ダロム  庄司浩和 大神官バラオム  高橋利道 監督  蔦林淳望

エンディング

撮 影 松村文雄 照 明 中川勇雄 美 術 井上 明 イラスト 野口 竜 プロデューサー補 高寺成紀 録 音 太田克己 編 集 菅野順吉 選 曲 茶畑三男 効 果 大泉音映
製作担当 寺崎英世 進行主任 桐山 勝 助監督 吉野晴亮 計 測 岡部正治 記 録 富田幸子 製作デスク 岩永恭一郎 装 置 東映美術センター 操 演 国米修市 美 粧 サン・メイク 衣 裳 東京衣裳 装 飾 大晃商会
ダンス指導 西原千雪 資料担当 小佐野 聡      (石森プロ) キャラクター製作 レインボー造型企画             (前沢 範) 合 成 チャンネル16 現 像 東映化学 オートバイ協力   Sスズキ自動車
ビデオ合成 東通ECGシステム   峰沢和夫 近藤弘志   前岡良徹 鈴木康夫 (株)特撮研究所 操 演 鈴木 昶     尾上克郎 撮 影 高橋政千 照 明 加藤純弘 美 術 佛田 洋 特撮監督  矢島信男     △東映 製 作     毎日放送

使用音楽一覧
場面番号または歌曲名音楽メニュー
万引き成功M37T2
ハチ怪人の幻影M15冒頭部分のみ怪人出現
苦しむ少女M34uptempo迫りくる怪人
被害者続出M34おぞましき姿
ペンダントを拾い上げる光太郎M1
副題M48b別サブタイトル
作戦の説明をするビシュムM3張りつめる空気
ハチ怪人M43
帰る悦子組、怒る悦子M16
ビシュムとハチ怪人出現V8絶体絶命!
一人立つ悦子M20世紀王脱走
ペンダントの調査を始める光太郎M10潜入
悦子の商売大繁盛M4焦り
光太郎現場到着、悦子組逃走V3追跡
ハチ怪人襲来M34uptempo迫りくる怪人
変身、戦闘V21バトルホッパー
反撃を誓うビシュム、怯える悦子組M3張りつめる空気
ハチ怪人出現、追う光太郎M15怪人出現
ビシュム出現M20世紀王脱走
悦子の告白M13
叫ぶ悦子組、ゴルゴムの攻撃M22大いなる悪の力
ハチ怪人襲来M41チャンス到来
変身、戦闘V0ヒーロー登場
悦子とかほるの危機V8絶対絶命!
異空間に吸引される悦子とかほるM34uptempo迫りくる怪人
BLACK反撃「仮面ライダーBLACK」
BLACK勝利M9凱歌
危機脱出、ペンダント消失M26
エンディングV2勇者は行く
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