昭和六十三年五月二十二日放送　脚本・山口竜　監督・蓑輪雅夫
登場怪人・キノコ怪人

粗筋

　父子家庭の少女・ユキはキノコ怪人の作り出した悪夢に悩まされるようになる。或る夜、夢の作用で外を徘徊していたユキを光太郎が発見。そこにキノコ怪人出現、ＢＬＡＣＫがこれと戦っている間にビシュムがユキを誘拐。その後、光太郎も幻覚に悩まされる。
　ビシュムは夜毎、多くの子供達を連れ出して集め、キノコ怪人の胞子を使った戦士養成術を施していた。適応者については改造手術無しに戦士にすることができるのだという。
　養成術の成功例たる暴走少年達が杏子と克美を襲撃。光太郎は二人を助け出し、その暴走少年達を追跡する。そこでまた路上にユキを発見。
　光太郎はユキの父親を説得して彼女の護衛につく。果たしてその夜、ユキはビシュムに操られて光太郎を襲い、彼をキノコ怪人の幻覚世界に引きずり込む。ＢＬＡＣＫはキノコ怪人を斃して幻覚世界を破壊、ユキや他の子供達を救出する。

暗黒大公曰く

　今まで度々名前を誤記されてしまっていた蓑輪雅夫、今回から監督に昇格。
　Ａパートの初めの方、悪夢から醒めたユキを父親が慰める場面の音楽の旋律はＶ４、Ｍ３０と同一だが音盤に見当たらない。
　ああ、本当にいいぞＭ２８ｂ！
　どうも曰く言い難い内容。よく言えば幻想的、悪く言えばわけがわからぬ。演出面でも夢か現（うつつ）か不明確な部分あり。
　今回の作戦主任はビシュム。好井ひとみ自ら、ビシュム人間体たる修道女を演じる。実は筆者、好井ひとみは別に好きでもなくて、大神官ビシュムこそ好きなものだから、今回の修道女は別に嬉しくもない。後にも度々、ビシュムは自分の顔のままで人間に化ける。
　よりによって幼時に母親を失った少女にその母親を装って接近するゴルゴム、実に効果的且つ卑劣な作戦といわざるを得ない。人間の精神的に最も弱い部分を突いて来る。
　今回の剣聖は光太郎の悪夢の中に登場したのみ。剣聖自身は欠場。
　一日一時間を五日間続ければ改造手術無しで子供達を悪魔に出来る、確かに効率的な戦士量産だ。しかしその「成功例」が単なる暴走族でそのキャピトラ組捕獲作戦も都会の喧騒の中で白昼堂々決行という芸の無さ。あれで使い物になるのか。
　ゴルゴムに操られるユキの台詞、「裏切ったな仮面ライダーＢＬＡＣＫ、裏切り者は地獄へ行け！」が不可解である。今頃になって何を言っている、光太郎のゴルゴム脱走なんて暫く前の出来事に非ずや。「裏切り者」も何も、そもそも光太郎は裏切り以前にゴルゴムへの恭順なんか一度も表明していない。裏切り者は秋月総一郎である。
　「遂に私の物になりましたね、南光太郎」「既にあなたは私の虜」頗る嬉しそうなビシュム。大体、ビシュムが光太郎に勝ち誇る時は喜色満面、今回も幻覚世界で苦戦するＢＬＡＣＫに対しても嬉しくて嬉しくて仕方ないといった感じだが、「私の物」「私の虜」だって。杏子だって光太郎のことをそこまで言ったことは無い。尤も、今回の光太郎は割りと気はしっかり持っていて、別にビシュムに骨抜きにされたわけではない。
　ＢＬＡＣＫが飛び込んだ世界にあった自動車や家電の山。ビシュムは＃３のオブジェ「人類の最期」をささやかでも実現したかったのか。
　キノコ怪人、姿自体は斬新さは無いが、左右非対称の実に不気味な姿である。キノコネタ定番といったところか。「胞子の世界」の巨大キノコ林が世代人には「スーパーマリオブラザーズ」に見えて仕方ない。

場面	番号または歌曲名	音楽メニュー
ビシュム出現	Ｍ２０	世紀王脱走
副題	Ｍ４８ｂ別冒頭のみ	サブタイトル
自転車で走るユキ	Ｍ２８ｂ	夢
ゴルゴム出現	Ｍ２０	世紀王脱走
異変発生	Ｍ１５	怪人出現
ユキの深夜徘徊	Ｍ２５
キノコ怪人襲来	Ｍ３４ｕｐｔｅｍｐｏ	迫りくる怪人
変身、戦闘	Ｖ０	ヒーロー登場
ユキを連れ去るビシュム	Ｍ８	闇の視線
バトルホッパー襲撃	Ｍ２０	世紀王脱走
光太郎刺される	Ｖ７ａ冒頭のみ	邪悪の神殿
茸（きのこ）スープ	Ｖ７ａ	邪悪の神殿
暴走族	Ｍ１１	胸騒ぎ
キャピトラ組捕らわる	Ｍ４５Ｔ２コーダのみ	怪人出撃
光太郎対暴走族	Ｍ６	悪魔の追撃
ユキの警護	Ｍ２５
光太郎を襲うユキ	Ｍ４８ｂ別冒頭のみ	サブタイトル
光太郎対ユキ	Ｍ１１	胸騒ぎ
去るユキ	Ｍ８	闇の視線
キノコ怪人出現	Ｍ３４ｕｐｔｅｍｐｏ	迫りくる怪人
変身	「ブラックホール・メッセージ」
異世界での戦い	Ｖ８	絶体絶命！
背後からキノコ怪人	Ｍ１５	怪人出現
ＢＬＡＣＫ反撃	「仮面ライダーＢＬＡＣＫ」
生還	Ｍ９	凱歌

＃３２「夢少女・ユキ」

粗筋

暗黒大公曰く

クレジット

オープニング

エンディング