#21「激突!二大マシン」

昭和六十三年二月二十八日放送 脚本・杉村升、荒木憲一 監督・小笠原猛
登場怪人・タマムシ怪人

粗筋

 タマムシ怪人はクローン虫を放出、バトルホッパーに寄生させる。街にタマムシ怪人出現、BLACKはこれをバトルホッパーで追跡するも、突然バトルホッパーが言うことを聞かなくなる。やがておとなしくなるバトルホッパー、理由が解らぬ光太郎。
 再び狂わされて倉庫から飛び出して行くバトルホッパー、光太郎はロードセクターでこれを追う。暴れバッタとなったバトルホッパー、暴走で各地を大混乱に陥れる。
 ビシュムは光太郎をイワガミ峠に呼び出し、ダムに向けて設置したゴルゴムミサイルを示してキングストーンを要求。光太郎は変身してタマムシ怪人を斃し、発射寸前のミサイルを止める。そこにバトルホッパー出現、BLACKはロードセクターの力でクローン虫を追い出す策を採り、ロードセクターでバトルホッパーに激突。バトルホッパーは更にゴルゴムミサイルにも焼かれるが、それによって体内のクローン虫の駆除に成功する。

暗黒大公曰く

 似た題名の挿入歌があるが、あれは「激走」。
 前回と今回、二週続けて杏子と克美休場。そして一般怪人との戦闘は前座に過ぎず、その後に「本日のメインイベント」があるのは三回連続。キャピトラ組休場のみならず、オープニングクレジットの出演者が倉田、ゴルゴムとJACのみである。
 今回の作戦主任はビシュム。もう最初から最後まで大神官ビシュムの魅力満載である。あの色っぽい喋り方が何ともたまらない、筆者の心をくすぐる。美貌、美声だけでなく丁寧な言葉遣いも彼女の魅力である。光太郎にバトルホッパーの狂乱を告げる彼女の表情、声、実に嬉しそうである。それがいいのさ。彼女は絶対、若い光太郎をいじめて私的に喜んでいる。
 冒頭、二大マシンの手入れを終えた光太郎、「おやすみ」と言って例の倉庫から出て行く。となると光太郎は別にねぐらがあるのだろうか。秋月邸は既に使えないし、杏子の暮らすキャピトラに一緒に住んでいる様子も無い。就学状況や生計と共に、この番組での光太郎の大きな謎である。
 今回のタマムシ怪人、緑色に輝く体色が実に美しい。好きな怪人の一つ。
 タマムシ怪人のクローン虫はバッタに寄生する習性があり、寄生の対象はバトルホッパーとて例外ではないのだという。それならば直接BLACKに寄生させればいいのに。或いは、この作戦をBLACKのロードセクター入手以前に実行していれば、BLACKは手の打ちようが無かっただろう。
 クローン虫に寄生されてもそれを光太郎に伝えられぬバトルホッパー、やはりこの時点ではまだ口がきけないようだ。命の危機に際してもまだわざと口がきけない振りをする、というのは不自然だ。
 バトルホッパーの横取りを企む剣聖、実に彼らしい。そしてバトルホッパーに拒否されるのもまたよい。「命令に従え!」それで極め付けは、神殿で彼をこそ泥呼ばわりしたビシュムに対して「手助け」と言ってのけるところ。悪役とはここまで図々しくなくては務まらぬ。筆者も見習うべき点だ。大好きだ。
 たまに、ヒーローマシンの公道走行についての指摘があるが、今回のBLACKはバトルホッパーの暴走について世間から非難、問責されても仕方ないと思う。普段の走行については世間から大目に見てもらっているように思うが(後の#38のテレビニュースでBLACKは「人類の味方」とされており、世間にそれなりの信用があることが窺われる)、今回のバトルホッパーの不始末についてはどうやって事後処理をしたのだろうか。
 峠でバトルホッパーとの対決を決意するBLACK、緊迫した場面には実にV1aがよく似合う。
 挿入歌「変身!ライダーブラック」使用。変身の描写が実に過激、激烈、強烈。この次の回でもすぐまた使用される。改めて聴いてみると実に格好いい歌だ。
 それと挿入歌「BLACK ACTION」は歌詞の後半だけ使用。やはり歌詞の前半と後半で相反する内容の為、通しては使いづらいのか。石森作品の歌には敵の描写を織り込んだ例が多くあるが、「BLACK ACTION」はその中でもかなり前半後半の独立性が高いと思う。いずれ、今後、全部通しての使用があるかないか、検証していこう。
 バトルホッパーならば難無く登れる斜面を超高速二輪要塞ロードセクターは登れない。BLACKはミサイルの場所までなかなか到達できずに苦労するが、空飛ぶタマムシ怪人との戦いで結果としてミサイルの地面に到達。大神官が現場に出て来ると怪人の助力になるどころかろくな事が無い。ミサイルを止めてタマムシ怪人を斃した、しかし今回はそれで一件落着ではないのだからそこで早々にM9、その名も「凱歌」を流すのはおかしい。文字どおり凱歌をあげるにはまだ早い。
 イメージ映像ではダムを破壊していたゴルゴムミサイル、実際は爆発してもバトルホッパーは無事だし周囲の地形にも、がけ崩れや地面に穴が開く等の変化は無い。固より機械工学は苦手なゴルゴム、もしこのミサイルも人間に作らせたのではなく自前の製造ならば、本当にダムを破壊できたのかどうか疑問だ。ハッタリではなかったのか。
 この週から映画の券プレゼントの告知、ナレーションは倉田。

クレジット

オープニング

仮面ライダーBLACK         吉川 進         堀 長文          (東映) プロデューサー         井口 亮         山田尚良         (毎日放送) 原作 石森章太郎    少年サンデー    てれびくん 連載 コロコロコミック    小学館学習雑誌    テレビランド    杉村 升 脚本    荒木憲一 音楽 川村栄二     主題歌 「仮面ライダー  「LONG LONG AGO, ・   BLACK」  20TH CENTURY」   作詩 阿木燿子   作曲 宇崎竜童   編曲 川村栄二   歌 倉田てつを 歌 坂井紀雄     (コロムビアレコードCK‐797) 南 光太郎 仮面ライダーBLACK  倉田てつを 岡元次郎 北村隆幸 山本貴浩 末永貴久 渡辺 実 (ジャパン・アクション・クラブ) アクション監督  金田 治  村上 潤   (ジャパン・アクション・クラブ)
ナレーター 小林清志 ダロムの声 飯塚昭三 大神官ダロム  庄司浩和 大神官バラオム  高橋利通 剣聖ビルゲニア  吉田 淳 大神官ビシュム  好井ひとみ 監督  小笠原 猛

エンディング

撮 影 松村文雄 照 明 中川勇雄 美 術 井上 明 イラスト 野口 竜 プロデューサー補 高寺成紀 録 音 太田克己 編 集 菅野順吉 選 曲 茶畑三男 効 果 大泉音映
製作担当 寺崎英世 進行主任 竹内洪太 助監督 蓑輪雅夫 計 測 岡部正治 記 録 安藤豊子 製作デスク 岩永恭一郎 装 置 東映美術センター 操 演 国米修市 美 粧 サン・メイク 衣 裳 東京衣裳 装 飾 大晃商会 資料担当 小佐野 聡      (石森プロ) キャラクター製作 レインボー造型企画             (前沢 範) 合 成 チャンネル16 現 像 東映化学 オートバイ協力   Sスズキ自動車
ビデオ合成 東通ECGシステム   峰沢和夫 近藤弘志   前岡良徹 鈴木康夫 (株)特撮研究所 操 演 鈴木 昶     尾上克郎 撮 影 高橋政千 照 明 加藤純弘 美 術 佛田 洋 特撮監督  矢島信男     △東映 製 作     毎日放送

使用音楽一覧
場面番号または歌曲名音楽メニュー
副題M48b別サブタイトル
タマムシ怪人出現M20世紀王脱走
二大マシンの手入れMF追憶
クローン虫、バトルホッパーに寄生M45T2
作戦の指示をするビシュム、タマムシ怪人大暴れV8絶体絶命!
少女救出作戦V6マシン激闘
変身、戦闘「ブラックホール・メッセージ」
バトルホッパー謀反M15怪人出現
おとなしくなっているバトルホッパーM1
不思議がるBLACK、退却するゴルゴムM24策謀
徹夜M49
クローン虫襲来M2シティ・チェイス
バトルホッパー発狂、剣聖乱入V1変身!
暴れ馬バトルホッパーM34迫りくる怪人
神殿にてM3張りつめる空気
回想V7aT2燃える想い
イワガミ峠へ向かう光太郎V3追跡
ビシュムの口上V7忌まわしい記憶
ダム崩壊想像図M22大いなる悪の力
変身、戦闘「変身!ライダーブラック」
バトルホッパー登場M34おぞましき姿
ロードセクター見参、ミサイル停止「BLACK ACTION」
BLACKを襲うバトルホッパーM9凱歌
ロードセクター対バトルホッパーV1aT2燃える想い
正気に戻ったバトルホッパー「ブラックホール・メッセージ」
インストゥルメンタル
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