さあお待ち兼ね、「ＢＬＡＣＫ」中盤の最大の功労者、我らの剣聖ビルゲニアの登場である。演ずるは吉田淳、「宇宙刑事シャイダー」の神官ポー役。また、「ＢＬＡＣＫ」の少し前にビデオ「ゲゲゲの鬼太郎・妖怪奇伝」、「ＢＬＡＣＫ」終了後に「世界忍者戦ジライヤ」、その他東映特撮にいろいろ出演している。どうも実際は色白の二枚目、ヤサ男の感じがしないでもないのだが、剣聖役は実に堂々と演じている。
　冒頭、大神官達が創世王の叱責を受ける場面。大神官達は創世王に対して、怪人達が言うことを聞かなかったのが悪い、と弁明していたが、ゴルゴム怪人は皆、上の命令には忠実だったと思う。「ハラ、ヘッタ」つまみ食いのサボテン怪人くらいしか思い浮かばぬ、命令違反は。明らかに大神官達の言い逃れであろう。
　そして遂に剣聖の召喚命令。とにかく剣聖の召還は避けたい大神官達、しかし創世王はそれを許さず。剣聖の封印の部屋に向かう大神官達、ダロムの「できれば、この部屋には足を踏み込みたくなかった」に他の二人も深くうなずく。
　「封印を解くぞ」ダロムの掛け声と共に柩の封印紙が燃え上がり、室内に煙が充満。マントが飛び回り、やがてＶ７ａの荘厳な響きと共に柩の中から一人の戦士が出現、振り返って大神官達を睨む目には憎悪が満ちている。剣聖ビルゲニア、実に三万年振りの大復活である。以前にも触れたＶ７ａ「邪悪の神殿」、今回だけでも、この後ＢＬＡＣＫとの初対面の場面、公園でビルゲニア人間体が本体に戻る場面、そしてＢＬＡＣＫとの二度目の対面と、合わせて四場面で使用されており、「ビルゲニアのテーマ」であることが強く印象づけられる。剣聖、復活するなり柩を一刀両断、そして早速大神官達に嫌味を言う。名台詞「冗談ですよ」
　美術館の「大エジプト展」に出品されていた、大宮寄贈の「王の剣と盾」（ビルセイバー、ビルテクター）を長時間鑑賞して、光太郎の店番の約束の時刻よりすっかり遅れて帰って来る杏子と克美。キャピトラに二人で飛び込んで来て光太郎に向かってＶサイン突き出して「イエーイ！」って何だよそれは。「剣と盾」に埋め込まれていた宝石に見とれていたというが、そんなに女性って宝石が好きなのだろうか。筆者は全く興味が無くてよくわからぬのだが。ただ筆者自身、宝石と焼き芋が嫌いな女性には会ったことが無い。
　全く捨て石以外の何者でもないクロネコ怪人。下手にいたわるよりも盾にする方が寧ろ有効利用というものであろう。
　初戦から押しまくる剣聖、防戦一方のＢＬＡＣＫ。キングストーンを持たぬ身でありながらここまで世紀王を追い詰め、苦しめる。やはり実力者である。カニ怪人の時はロードセクターで逃げたＢＬＡＣＫ、今回はバトルホッパーで。いずれにせよ、実にぶざまで、惨めだ。
　ゴルゴム神殿での剣聖と大神官達（特にバラオム）とのやり取り、実に好きだ。とにかく剣聖の一挙手一投足が気に入らぬ大神官達、そんなことは承知の上で更に憎まれ口を叩く剣聖。「あの程度の力で次期創世王の候補だったとは、ゴルゴムも地に堕ちたもんですなあ」ここまで言われれば誰だって怒る。言葉遣いなどからすれば大神官達の方が目上のようだが、嘗てその大神官達を屈服させたらしいこと、そしてバラオムの光線を簡単に弾いたところを見ると、戦闘能力では剣聖の方が上らしい。
　本当に光太郎のことを心配しているなら、克美も公園に狂乱男出現なんて言わなければいいのに。本当にゴルゴムと聞けばすぐすっ飛んで行く光太郎。公園でビルセイバーを振り回して仮面ライダーＢＬＡＣＫを呼んで来いと叫んでいたのは岡元次郎だと。警官の放った拳銃一発で彼はビルセイバーを取り落としてしょっ引かれるが、今度は落ちたビルセイバーを片付けようとした警官が暴れだす。それを操っていたのは垂れ目で色白の痩せた男、実は剣聖である。
　ＢＬＡＣＫと剣聖の二度目の対戦、今度は剣聖は幻術を使ってＢＬＡＣＫを苦しめる。分身の術はマルチアイでも看破できぬ、この辺りは大神官達の変身能力と同様だ。ＢＬＡＣＫが正面の剣聖と戦っているつもりでいたら背後から斬りつけられたりして、実に大苦戦である。その幻術を破ったのはキングストーンフラッシュ、やはりキングストーンは偉大である。しかし青空の下で戦っていたのが、文字どおり青天の霹靂か、ＢＬＡＣＫのそばの木と剣聖に突然の落雷。さすがに剣聖でもこたえたのか、そのまま退却。
　「ブラックホール・メッセージ」クロネコ怪人との対戦時には一番、剣聖との二度目の対戦時には二番が使われる。
　対戦後、キャピトラで傷の手当を受ける光太郎。手当をしながら杏子はＢＬＡＣＫに託して光太郎に曰く、「ゴルゴムと戦うのはいいけど、命だけは大切にして」と。もうこの時点でＢＬＡＣＫの正体に感づいているのだろう、杏子と克美。「星のララバイ」インストゥルメンタルが優しく流れる。
　剣聖の登場でオープニングクレジットのゴルゴム部分の配置が変わるが、「高橋利」だったのが「高橋利」に変わってしまっている。字幕の書き換えで誤記をしてしまったようだ。

クレジット
オープニング
仮面ライダーＢＬＡＣＫ


　　　　　　　　吉川　進
　　　　　　　　堀　長文
　　　　　　　　　（東映）
プロデューサー
　　　　　　　　井口　亮
　　　　　　　　山田尚良
　　　　　　　　（毎日放送）


原作　石ノ森章太郎

　　　少年サンデー
　　　てれびくん
連載　コロコロコミック
　　　小学館学習雑誌
　　　テレビランド


脚本　山田隆司


音楽　川村栄二


　　　　主題歌
「仮面ライダー　　「ＬＯＮＧ　ＬＯＮＧ　ＡＧＯ，
               ・
　　ＢＬＡＣＫ」　　２０ＴＨ　ＣＥＮＴＵＲＹ」

　　作詩　阿木燿子
　　作曲　宇崎竜童
　　編曲　川村栄二
　　歌　倉田てつを　歌　坂井紀雄
　　　　（コロムビアレコードＣＫ‐７９７）


南　光太郎
仮面ライダーＢＬＡＣＫ
　倉田てつを


秋月杏子
　井上明美

紀田克美
　田口あゆみ


竹内浩昭

月館正英

武蔵美弥


岡元次郎
北村隆幸
山本貴浩
末永貴久
渡辺　実
（ジャパン・アクション・クラブ）


アクション監督
　金田　治
　村上　潤
　　（ジャパン・アクション・クラブ）

ナレーター　小林清志
ダロムの声　飯塚昭三


大神官ダロム
　庄司浩和

大神官バラオム
　高橋利通


剣聖ビルゲニア
　吉田　淳

大神官ビシュム
　好井ひとみ


監督
　小西通雄

エンディング
撮　影　松村文雄
照　明　中川勇雄
美　術　井上　明
イラスト　野口　竜
プロデューサー補　高寺成紀


録　音　太田克己
編　集　菅野順吉
選　曲　茶畑三男
効　果　大泉音映

製作担当　寺崎英世


進行主任　竹内洪太
助監督　蓑輪雅夫
計　測　岡部正治
記　録　富田幸子
製作デスク　岩永恭一郎


装　置　東映美術センター
操　演　国米修市
美　粧　サン・メイク
衣　裳　東京衣裳
装　飾　大晃商会


資料担当　小佐野　聡
　　　　　（石森プロ）
キャラクター製作　レインボー造型企画
　　　　　　　　　　　　（前沢　範）
合　成　チャンネル１６
現　像　東映化学


オートバイ協力
　　Ｓスズキ自動車

ビデオ合成　東通ＥＣＧシステム
　　峰沢和夫　近藤弘志
　　前岡良徹　鈴木康夫



（株）特撮研究所
操　演　鈴木　昶
　　　　尾上　克郎
撮　影　高橋政千
照　明　加藤純弘
美　術　佛田　洋


特撮監督
　矢島信男


　　　　△東映
製　作
　　　　毎日放送