#16「友よ!海を越えて」

昭和六十三年一月二十四日放送 脚本・鷺山京子 監督・蔦林淳望
登場怪人・ハサミムシ怪人

粗筋

 エトワール女子大の柳博士が謎の男に狙撃される。一方ゴルゴムは、東京地下の岩盤を溶かして大地震を引き起こすのに必要なウルトラクオーツを探していた。
 教え子達と共にプールバーにやって来た博士、そこで謎の男にウルトラクオーツを所望される。逃げ出した柳、外でハサミムシ怪人に襲われるも謎の男とBLACKに救われる。謎の男の正体は、信彦の理学部の先輩にしてインターポールの刑事・滝竜介だった。光太郎はゴルゴムや自らの改造のことを滝に説く。
 果たして柳はウルトラクオーツを持ち出していた。柳を説得、理解を得た滝は柳に変装してゴルゴムに潜入、やがて光太郎も合流。捕らわれていたクオーツ関係の科学者を解放。BLACKはハサミムシ怪人を斃す。そして二人は今後の協力を誓い合い、滝は米国に帰って行く。

暗黒大公曰く

 さあ御存じ京本政樹の登場である。「BLACK」出演については当時、放送前から我が二年八組の女子生徒の間で話題になっていた。二年八組では女子生徒にも人気のある番組だったのである、「BLACK」は。
 京本の「BLACK」出演に至る経緯については、平成五年四月放送のNHK・BS2「石森章太郎の世界」で本人が詳しく語っている。それによると、東映にサスペンスドラマの撮影で行った際に「BLACK」のポスターを見て、そしてプロデューサーと話をする機会があって出演が叶ったそうな。滝竜介の原形はやはり滝和也で、設定等は自分で考えたと。彼の事務所は「BLACK」出演に反対したという。尚、「ZO」公開直前に放送されたこの特集番組、「RX」は紹介したものの「BLACK」は殆ど無視。スタジオの机の上にはBLACKやシャドームーンの人形も置かれ、スタジオ内でのライダーショーにはコウモリ怪人が登場してはいるのだが。さては「BLACK」と「RX」を混同したか。世間には「BLACK」と「RX」を同一番組だと思っている人や、我が「帝國」の事を「RX」のページだと勘違いしている人は少なからずいる。
 確かに、就任から既に数万年を経ている大神官達から見れば、我々の原始時代なんてつい最近のことかも知れぬ。
 「謎の学会」と言われるセラミック学会についてやたら詳しい克美。新聞を読めばあの程度のことは誰でもすぐわかるのだろうが、それにしてもあまり一般的とも思われない話題についてすらすらと説明する克美、ちょいと不自然だ。この後も、特に克美が工学を勉強しているような場面は無い。
 地震をもゴルゴムの仕業と瞬時に察知できる光太郎の超感覚。
 運命の誕生日パーティーの時は十九歳、即ちこの時点でも未成年のはずの光太郎が調査目的とは雖もプールバーに入り込んでいる。柳博士がプールバーから屋外に逃げ出した時に空はまだ青い、この先生は昼間から教え子達と遊んでいるのか。柳博士に置き去りにされた女子大生達はあの後どうしたのだろう、滝はともかく先生の分の勘定も払わされたのだろうか。
 如何に滝の必殺リュウシュートと雖も、普通の人間が丸太を蹴っては足を傷めないか。競技場での会話で「信彦は二年前に大学の先輩である滝からリュウシュートを伝授された」と語られているが、十九歳の二年前では十七歳で大学生と言う事になってしまう。光太郎と信彦が(前回の論賛のとおり在学中かどうかはともかく)十九歳で大学二年生と言う事とも併せて、年齢設定に不審な点がある。光太郎は後で信彦を「頭が良かった」と評しているが、光太郎は飛び級ができる程の優等生、と言うような描写は特に無い。
 ゴルゴム実験施設で戦うBLACKに「仮面ライダー」と呼びかける滝、そして地上での戦闘中にはスミス博士も「MASKED RIDER」。既に外国にまで名を馳せていることが判る。しかしインターポールは暗黒結社の存在には気付いていてもゴルゴムの名前までは察知できていなかった。
 多分流用場面だろうが大地震で逃げ惑う人々、まるで大怪獣でも出現したかのように振り返って上の方を見ながら走る。この場面の前後に高層ビル倒壊場面でもあれば辻褄は合うが、直後に入るのは地割れの場面である。
 今回のラストのナレーションは特に格調高い、「海を越え、遠く隔たっていても、共に戦う友がいる」。「とも」連発が耳障りだが、いい文句だ。
 スミス博士役のアイデン・ヤマンラールは翌年の「ゴジラVSビオランテ」のサラジア共和国生命工学研究所所長。「ビオランテ」は筆者が初めて映画館で見たゴジラ映画で、以後、ゴジラ映画については必ず初日に映画館で見ている。「BLACK」と「ビオランテ」、中高生時代に夢中になって、今でも大好きなこの「二つのB」について語り出すと止まらない。
 アクション監督に「宇宙刑事ギャバン」等の村上潤参加。
 助監督の蓑輪雅夫、前々からエンディングに名を連ねているのに、なぜか今回は「簑輪」と書かれている。彼は後に監督となる。

クレジット

オープニング

仮面ライダーBLACK         吉川 進         堀 長文          (東映) プロデューサー         井口 亮         山田尚良         (毎日放送) 原作 石森章太郎    少年サンデー    てれびくん 連載 コロコロコミック    小学館学習雑誌    テレビランド 脚本 鷺山京子 音楽 川村栄二     主題歌 「仮面ライダー  「LONG LONG AGO, ・   BLACK」  20TH CENTURY」   作詩 阿木燿子   作曲 宇崎竜童   編曲 川村栄二   歌 倉田てつを 歌 坂井紀雄     (コロムビアレコードCK‐797) 南 光太郎 仮面ライダーBLACK  倉田てつを 秋月杏子  井上明美 紀田克美  田口あゆみ アイデン・ヤマンラール 白坂久美 山田裕子 福田直美 岡元次郎 北村隆幸 山本貴浩 末永貴久 渡辺 実 (ジャパン・アクション・クラブ) アクション監督  金田 治  村上 潤   (ジャパン・アクション・クラブ)
ナレーター 小林清志 ダロムの声 飯塚昭三 大神官ビシュム  好井ひとみ 大神官ダロム  庄司浩和 大神官バラオム  高橋利道 長谷川明男 友情出演  京本政樹 監督  蔦林淳望

エンディング

撮 影 松村文雄 照 明 中川勇雄 美 術 井上 明 イラスト 野口 竜 プロデューサー補 高寺成紀 録 音 太田克己 編 集 菅野順吉 選 曲 茶畑三男 効 果 大泉音映
製作担当 寺崎英世 進行主任 竹内洪太 助監督 簑輪雅夫 計 測 岡部正治 記 録 天池芳美 製作デスク 岩永恭一郎 装 置 東映美術センター 操 演 国米修市 美 粧 サン・メイク 衣 裳 東京衣裳 装 飾 大晃商会 資料担当 小佐野 聡      (石森プロ) キャラクター製作 レインボー造型企画             (前沢 範) 合 成 チャンネル16 現 像 東映化学 オートバイ協力   Sスズキ自動車
ビデオ合成 東通ECGシステム   峰沢和夫 近藤弘志   前岡良徹 鈴木康夫 (株)特撮研究所 操 演 鈴木 昶     尾上克郎 撮 影 高橋政千 照 明 加藤純弘 美 術 佛田 洋 特撮監督  矢島信男     △東映 製 作     毎日放送

M45T2
使用音楽一覧
場面番号または歌曲名音楽メニュー
狙撃者M15怪人出現
副題M48b別サブタイトル
ハサミムシ怪人の実験V8絶体絶命!
実験失敗ME2b
ハサミムシ怪人の雄叫びV7a邪悪の神殿
セラミックの新聞記事M45T2コーダのみ
柳博士M25冒頭のみ怪人出撃
克美の時事解説M8闇の視線
滝竜介勝利M1
柳博士逃走M11胸騒ぎ
ハサミムシ怪人出現M34おぞましき姿
リュウシュートV1変身!
変身、戦闘V0ヒーロー登場
光太郎と滝M49
柳博士誘拐M34uptempo迫りくる怪人
実験開始V8絶体絶命!
大地震発生M20世紀王脱走
光太郎・滝組対ハサミムシ怪人M21バトルホッパー
変身、戦闘V0ヒーロー登場
ロードセクター発進、逃げ惑う人々、戦闘「ブラックホール・メッセージ」
ハサミムシ怪人反撃怪人出撃
ウルトラクオーツ、BLACK反撃「仮面ライダーBLACK」
勝利M9凱歌
握手、滝帰る、ラスト「ブラックホール・メッセージ」
冒頭とコーダのみ
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