「ヤッホー! 遊びに来たよ、ウルスラー!!」
ある日ハルトマンは、柏葉剣付騎士鉄十字章を受賞した副賞として与えられた休暇を利用し、妹であるウルスラが働く、ノイエ・カールスラントの技術省を訪れていた。
「姉様……!? どうしてここに?」
突然の来訪者にウルスラは驚きつつ、訪れた理由を訊いた。
「ウルスラに会いたかったからに決まってんじゃん。お邪魔だった?」
「いえ、わたしもちょうど姉様に相談したいことがあったので、好都合です」
「相談したいこと?」
「はい。実は……」
ウルスラは現在技術省において、フレデリカ・ポルシェ技術大佐より発注された新歩行脚用の武器を開発中ということだ。開発は順調に進んでいたが、やたらと経費のかかる武器で、七割型完成したところで予算が尽きてしまったという。
「今年度の概算要求は既に終わり、来年度にならないと経費の捻出は難しい状況です」
そして、ポルシェ大佐からは年内に完成させて欲しいと再三要請があり、手の打ちようがなく困り果てていたところだったとウルスラは説明した。
「それである人に予算を回していただくよう頼みに行こうと思っていたのですが、了承を取り付けるには姉様の協力が必要不可欠で」
「ふーん。別に構わないけどさ。そんなに都合良く予算回してくれる人なんかいんの?」
「はい。幼少の頃何度かお会いしたことのある父様の大学時代の先輩で、現在はカイザー・フリードリヒ・ウィッチ研究所の主任医官を務めている、ヨハン・メンゲレおじさまです」
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