芙蓉 楓


アンタなんか……死んじゃえばいいんだ!!

名前 芙蓉 楓
登場作品名 SHUFFLE!(アニメ版)
属性 幼なじみ
俗称 黒楓
好きな人(続柄) 土見稟(幼なじみ)
憎んでいる人(続柄) 時雨亜沙(先輩)
横軸パラメータ
レーダーチャートパラメーター
解説  世に“ヤンデレ”なる言葉を生み出した、偉大なる黒ヒロイン
 主人公である土見稟の幼なじみ。稟の両親が幼い頃交通事故で亡くなり、以後は芙蓉家で同居している。
 朝起こしたり料理を作るなど、稟のお世話をすることを生甲斐とし、KKK(クー・クラックス・クラン)という秘密結社的親衛隊が付きまとうほどの学園の人気者。
 主人公と同居し身の回りのお世話をするといった、一見どこのギャルゲーにも一人はいそうなできの良い幼なじみヒロイン……だと言いたいところだが、実は彼女が稟に対して過剰なまでの献身を自ら進んで行うのには深い理由があった。
 事の発端は、稟の両親が交通事故で亡くなったときまで遡る。稟の両親は旅行先から帰省する際事故に巻き込まれたのだが、この旅行には楓の母親も付き添っており、同じ事故で楓の母親も死亡した。
 最愛の母親を亡くしたことに幼少の楓は深く傷付き、生きる気力を失って倒れこんでしまう。その楓の姿に心を痛めた幼き稟は、何とかして楓に生きる気力を与えようと、ある“ウソ”をつく。
 そのウソというのが「自分が両親たちに早く帰って来るようにとワガママを言ってしまったため事故に巻き込まれた」というもので、この言葉を聞いた楓は稟に対して深い憎しみを抱くようになり、直後に稟を絞殺しようと深く首を絞める。
 この稟に対する復讐を糧とし、楓は生きる気力を得る。退院後、稟は楓の家に同居することになるのだが、そこから楓の復讐劇は始まった。
 稟の部屋の中を荒らす、合鍵を奪い家の中に入れさせない、筆箱をわざと落とし稟に拾わせ、その最中カッターナイフを稟に階段上から階段下に落とすミシシッピー殺人事件未遂など、執拗で陰湿な復讐は中学生時代まで続く。
 中学時代、稟が大切にしていた模型を壊したとき、楓は亡き母親が写った写真を見つける。その写真には「病気の楓を見舞うために予定を早めて帰って来る」という、母親が交通事故に巻き込まれた真相が書かれていた。
 稟のせいだと思っていた交通事故が実は自分のせいだったという真相を知り、楓はショックを受ける。以後楓は一変して、稟に献身的なお世話をするようになる。
 このように、楓が稟のお世話をするのは贖罪の思いが込められており、この辺りが単に主人公が大好きでお世話をするヒロインとは一線を化しているところである。
 復讐から献身へ。一見対照的な変化のように思われるが、実は楓の本質は変わっていなかったりする。それは稟という人間に対する、異常とまで言える依存心だ。過去の復讐に現在の献身、それは両方とも稟という人間の存在なくしては成立し得ない感情であり、故に楓は稟なくしては自我が保てない人間へとなっていた。
 楓の変化は、稟が先輩である亜沙と親交を深めていったことに始まる。様々な経緯を経て、稟と亜沙は先輩と後輩という仲から、恋人同士という仲へと変わっていった。これにより稟は亜沙と共に過ごす機会が多くなり、芙蓉家を空けることが多くなった。
 全身全霊で稟を献身したいのに、肝心の稟は家にいない。献身の対象がいなくなることにより自我が保てなくなった楓は、徐々に精神を病んで行く。
 楓のヤンデレへの変化の兆候が見られたのは18話の終盤であった。18話の終盤において楓は、稟の帰りがあまりに遅いため、暗闇に包まれた台所で、稟のために作り置きしていた料理をゴミ箱へドサドサと捨ててしまう
 続く、19話では病みっぷりが更に進行し、光を失った顔で空の鍋を温める、稟と亜沙が撮ったプリクラを、亜沙の顔だけ黒マジックで塗り潰すといった凶行に走る。
 そして楓の狂気は稟が芙蓉家に亜沙を誘ったことにより、一つの頂点を迎える――。稟としては自分の家に誘う気持ちで気軽に亜沙を招いたのだろうが、楓は芙蓉家という“聖域”にまで自分から稟を奪った亜沙が踏み込んでくることが許せず、病気がちな亜沙を問い詰め、「アンタなんか……死んじゃえばいいんだ!!」と啖呵を切る。
 亜沙先輩とは昔からの付き合いで、病気がちなことも知っていただろうに。稟を想うが故にとはいえ、病人に対して死んじゃえばいい発言は人間としてどうかと思う。
 親しくしてたはずの楓からいきなり死亡宣告を受けた亜沙先輩は、直後に楓に秘孔を突かれたかのように倒れこんでしまう。さすがに悪いことをしてしまったと思ってか、楓はその発言のあと何とか正気を取り戻す。
……が、亜沙は上記の事件が原因で入院し、稟は献身的に亜沙の見舞いに行くようになり、なんだかんだで稟はますます家にいなくなる
 亜沙先輩が入院した原因は楓にあるといっても過言ではないのだが、当の本人は自身の過失どこ吹く風という感じに、稟が先輩の見舞いばかりに行って家にいないことに苛立ちを感じるようになる。
 この恋敵を傷付けたのに反省の色なしという自己中心っ振りは、王道の昼メロヒロインに通じるところがある。
 まったくといっていいほど自分を振り向いてくれない稟に対して、楓はついに強行手段に打って出る。何と、全裸で寝床の稟を襲うという、逆夜這いに打って出たのだ! 世の中に数多くのエロゲーあれど、自分から裸で男に迫っていくヒロインはそういない。これぞR15クオリティ! この楓のあまりに奇怪な行動に恐怖した稟は、勢いで家を飛び出してしまう。
 最後の手段も空しく失敗に終わった楓は、もう稟が家にさえいてくれればいいと願うようになる。しかしそう願った最中、家に戻ってきた稟は、「家を出て行こうと思うんだ」と楓に最後通牒(ハル・ノート)を付き掛ける。
 最後のささやかな願いも見事に打ち砕かれた楓は、瞳孔が開きっぱなしの絶望に満ちた顔をし、物語はここで途切れ次回予告なしで次回へと続いた
 こんな展開で次回へ続いたのだから、楓がいよいよ包丁を持って亜沙先輩へ襲いかかるという王道的昼メロ展開になると思いきや、残念ながら二人は和解し、修羅場展開とはならなかった。
 最後は尻すぼみな収束であったが、神族やら魔族、魔法といったファンタジー色の強い世界観において、等身大の女性の愛憎劇を描き出したことは評価に値する。
参考 SHUFFLE!(アニメ版オフィシャル)
SHUFFLE!(フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
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